「札幌駅に北海道新幹線のホームを作れない」は本当か?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/6 ページ)
JR北海道が「北海道新幹線の札幌駅は在来線に隣接できない」と言い出した。既定路線の撤回であり、乗り換えの利便性も低下する。札幌市と建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が反発している。JR北海道の言い分「在来線の運行に支障がある」、これは本当だろうか。駅の線路配線図とダイヤから検証してみよう。
札幌駅の折り返しをやめよ
JR北海道が「札幌駅は始発、終着駅」という考え方にとらわれず、折り返しと交差支障の頻度を減らせば、もっと少ないホームでも運用できる。千歳線の列車は、到着したら同じ方向に発車させて、函館本線の小樽方面へ向かわせる。単線の専用線路でやって来る札沼線は分離して9番、10番ホームの折り返しに限定する。
すべての特急列車やエアポートライナーは札幌折り返しをやめ、その先の手稲や小樽で折り返す。特急列車は乗降口の数が少なく、乗客の荷物も多い。だから停車時間は長めにとりたい。それなら、上下線とも線路2本ずつ特急専用にして差し支えない。加速性能に差がある電車とディーゼルカーで使い分ける方法もある。どちらにしても名鉄名古屋駅に比べればホームが多く、恵まれた環境だ。
ここまで名鉄名古屋駅を持ち上げたけれど、名鉄名古屋方式にも欠点はある。同じホームに異なる行き先の列車が発着するため乗り間違いが多い。その工夫として、行き先ごとに電車の停車位置を変えて、方面別の扉の位置を指定している。運行本数が多いことは、各電車の停車時間を短くする必要がある。これは長年にわたって培われた乗客の「慣れ」に依存している。そして、この駅で1つの列車がもたつくと、その遅れは最大14方面の路線に影響する。
そこで、名鉄はリニア開業をきっかけとした再開発事業に合わせて、駅の改良を検討している。近鉄名古屋駅と一体化するほか、新たに中部国際空港方面のホームを新設したいようだ。
札幌駅にはダイヤの改良の余地がある。名鉄名古屋に比べればずっと恵まれた設備がある。新幹線と在来線を隣接するほうが、始発終着駅の固持よりも利益に貢献するはずだ。JR北海道は慣例やこだわりを捨てて取り組んでほしい。
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