「宇宙ホテル」や「宇宙実験」、国際宇宙ステーションを起点に急増する民間サービス:宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)
「宇宙ホテル」や「宇宙旅行」など、国際宇宙ステーションを起点にした民間企業のサービスが盛況だ。その最前線を紹介する。
最近、一般住宅を宿泊施設として提供する「民泊」サービスが日本でもさまざまな議論を呼んでいる。旅行者にとって宿泊する場所はなくてはならないわけだが、実は将来の宇宙旅行時代到来を見据えて、宇宙空間にもホテルを建設しようとする動きがあるのをご存じだろうか。
その中心プレイヤーと言えるのが、ホテル事業で財を成したロバート・ビゲロー氏が1999年に創業した米Bigelow Aerospaceだ。同社は将来宇宙ホテルとしても活用可能な商業宇宙ステーションの建設を目指している。鍵となるのは膨張式居住モジュールの開発だ。モジュール自体は柔軟な素材の多重構造で、約10分の1に折りたたまれており、宇宙空間で膨張させて使う構造だ。
宇宙に滞在するための膨張式居住モジュールの概念は古くからあり、NASA(米国航空宇宙局)が取り組みを進めてきたが、途中で計画がキャンセル。その後、技術ライセンスを受けたのがBegelowだった。宇宙空間で耐え得る素材などの技術面でのボトルネックもあったが、近年開発が進み、実現に向けたプロジェクトが動き出した。
そして2016年4月、今後の重要なマイルストーンとなるテストが宇宙空間で始まった。「BEAM(Bigelow Expandable Activity Module)」と名付けられた実験モジュールを国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング、5月末以降に膨張させて、今後2年間のテストを行っていくのだ。
ISSを舞台にした実証実験はNASAとの1500万ドル以上におよぶ契約の中で実施されている。NASAとしては将来の火星探査などに向けて膨張式居住モジュールの技術信頼性を確認する目的もある。
さらにBigelowは、打ち上げサービスを行う米United Launch Alliance(ロッキード・マーチンとボーイングの合弁事業)と共同で、2020年の運営開始を目指して、居住可能な商業宇宙ステーションの建設を発表した。商業というだけでなく、大手企業とベンチャー企業の提携例としても注目を集めている。
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