連載
高齢化時代の福祉車両:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)
日本社会の今後ますますの高齢化は周知の事実だ。そのために自動車メーカーが行っている取り組みについて考えてみたい。
トヨタはハイエースに車椅子での乗車を前提としたシートアレンジが可能なモデルを追加したばかりだ。
ただ、シートを折りたたみ可能にしただけでなく、車椅子乗車でもシートベルトが有効に掛けられるための「シートベルトリルーター」や、可倒式の乗降手すりなど「ウェルキャブシリーズ」で培ってきた現実的な配慮がなされている。ハイエースはそうではないが、クルマの設計時にある程度介護利用が考慮されることで、家族でのサポートの敷居は確実に下がってきているのである。背景としてはクルマのモジュール化も大きく影響している。
クルマの構成要素を順列組み合わせ式にすることでコストダウンと性能向上の両方を狙うのがこのモジュール化の基本だ。言い換えれば多品種少量生産をローコストで実現することを目的にしている。
そのためには、これまでの同じクルマを単位時間あたりできる限り多く作る考え方から、さまざまなクルマを織り交ぜて生産しても効率を落とさない体制に切り替えたい。だから例外処理を嫌う。
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