オリジンでちょい飲み なぜ「オリジン弁当」をやめるのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/4 ページ)
長年親しまれてきた「オリジン弁当」は、リブランディングによって、装いも新たに「キッチンオリジン」へ、看板もメニューも再構築されつつある。その理由とは?
激戦区、池袋で実験的に1号店をオープン
オリジン弁当には、弁当、量り売り総菜、おにぎりと3つの柱があったが、キッチンオリジンも踏襲。男性に人気がある弁当、おにぎりはさておき、女性の顧客が多い量り売り総菜をどう変革するかが焦点となった。
店舗は、顧客が入りやすい清潔感ある白を基調としたデザインとし、通路幅を拡張。衛生上の問題を考慮して、量り売りの商品に開閉式の扉を付けていたのを取り払い、埃や菌が落ちないように、商品トレーが並ぶケースに屋根を付けた。これによって、レストランのバイキングのように、あれやこれやの総菜を気軽に選べるようになったのである。
女性にはバラエティー豊かな商品を、少しずつ買いたい欲求がある。そのため各店20種類以上もの総菜をそろえ、顧客が6〜9種類の商品を盛れる、仕切りの多い容器を備えている。
毎月新商品として、弁当は3種類、総菜は4〜5種類が入れ替わる。今なら夏野菜を使った商品が旬だ。弁当もかつては、単身男性にはハンバーグ弁当が人気だったが、最近はヘルシー志向が強まり、夏野菜、大豆、ハーブを取り入れたメニューの売れ行きが上昇している。
キッチンオリジン1号店を池袋に出店した理由は、10年前に比べて近隣にコンビニが10店くらいでき、西友系の競合チェーン「若菜」の激しい攻勢に遭う、非常に厳しい立地だったからだ。池袋のオリジン弁当は売り上げが半減して風前の灯火だったのである。
「若菜」は今でこそ路面から撤退して西友の総菜コーナーのみの展開になったが、2000年より弁当・総菜の併売店を出店し始め、一時期は首都圏と関西を中心に、50店ほどまで増えていた。また、コンビニの弁当、総菜のレベルアップが、弁当や総菜の専門店に影響を与えているのは言わずもがなである。
同社は、池袋で成功すれば水平展開できると考え、そして期待通りの結果が得られたのだ。
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