世界中で毎日8万個 BAKEの「チーズタルト」が売れるようになった理由:おいしいだけではない(1/4 ページ)
国内主要都市やアジア各国で18店舗を展開するチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART」をご存じだろうか。開業から数年経った今でもまだ店には行列ができている。実はこの商品の“源流”となるチーズタルトはほとんど売れていなかった。一体何が起きたのか。
渋谷駅から東急東横線の急行電車で10分弱、洗練された住宅街エリアにある東京・自由が丘。駅前の一角にあるガラス張りの建物の前には、連日のように長い行列ができている。今、この店である1つの菓子が飛ぶように売れているのだ。
その商品はチーズタルト。販売数は1日あたり4000個に上る。店の名前はチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART」。現在、旗艦店であるこの自由が丘店を含め国内で11店舗、海外は香港、シンガポール、タイなどアジア地域で7店舗を運営する。
こうした客の行列は国内外問わずほぼすべての店舗で見られ、待ち時間が最大で4時間を超えた店もあるという。1個200円(税別)のチーズタルトが毎日国内で5万個、海外でもほぼ同等の価格で3万個売られているのである。
同店を運営するのは、2013年4月に創業したBAKE。同社は主力であるチーズタルトのほか、シュークリーム専門店「クロッカンシューザクザク」、アップルパイ専門店「RINGO」といったブランドを展開する。売上高は右肩上がりで、初年度に1億円だったのが、4年目となる今年度は90億円を目標を掲げるほど急拡大している。2年目には営業利益も黒字化した。
比例して店舗数も増加。今年度は国内40店舗、海外20店舗を出店し、6〜7年後には国内外合せて1000店舗にする計画だ。「今後ビジネスの中心は海外に。1000店舗のうち海外比率を8割にする」とBAKEの長沼真太郎社長は意気込む。今年度はアジアだけではなく、カナダや英国など欧米地域への進出も予定する。
今でこそ飛ぶように売れているBAKEのチーズタルトだが、実はこの“源流”にあたるチーズタルト商品は長年さっぱり売れていなかったのだ。そうした中、ヒットのきっかけとなったのは、ある「凡ミス」だった。
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