なぜロボットはコップを持てないのか(人にはどんな仕事が残るのか)?(3/3 ページ)
Googleが開発した囲碁AI「AlphaGo」が、韓国のプロ棋士イ・セドル氏を破った。ディープラーニングは、すさまじい勢いで進化している。では進化するAIがロボットに搭載された時、ロボットはどこまで人の代わりを務められるのだろうか。
無意識の動作をロボットは真似ることができない
2045年、人類はシンギュラリティを迎えるといわれている。ディープラーニングによりAIが発達し、センシングを含めたロボット技術が発達した時、人の仕事の大半がロボットに取って代わられるという話だ。
確かに、単純な事務作業なら、人はAIに勝てないだろう。過去の判例や診療成果など記憶力(=データ量の多さと検索の速さ)が勝負になる分野、弁護士や医師のような仕事も、AIを活用するようになるのではないか。力仕事はロボットスーツがサポートしてくれるはずだ。
では、ロボットにはできない仕事はないのだろうか。あるいは、人にしかできない仕事は残らないのだろうか。
カギは無意識にある。人が無意識のうちに行っている動作を、プログラム化することは(今のところ)できない。無意識を、あるいは小脳で起こっている入力→出力反応を解明できないかぎり、それをプログラム化することは、理論的に不可能のはずだ。
そんな無意識の反応が求められる仕事、人と人が接する仕事、接する中で無意識下で何かをインプットされ、それに対するアウトプットを返すような仕事、いわゆる閃きを求められるような仕事、人の気持ちの動きを気配で察して対応する仕事を、ロボットがこなせるようになるには相当な時間がかかるだろう。
いずれはPepperが飛躍的に進化して、目の前にいる人の仕草から、その人の心の動きまでを読み取れるようになるのだろうか。感情の動きは、感情を持たないロボットには感じ取ることができないと、今の時点では思う。そして、そこに人にしかできない仕事が残るのだとも思う。(竹林篤実)
関連記事
- ワトソン君が変える医療の未来
ワトソン君とは、IBMが開発を続ける最新鋭のコンピュータ。2009年に米国で開発がスタート。当初の目的はクイズ番組に出場して勝つことだったが、その後飛躍的な進化を遂げ、東大医学部と共同でがん解明に挑むようになっている。 - あなたは大丈夫? 10〜20年後、人工知能に奪われる仕事100
人工知能によってあなたの仕事が奪われるかもしれない――。このような不安を感じている人も多いのでは。ある調査によると「労働人口の49%が人工知能などによって奪われる」という結果がでたが、この数字をどのように受け止めればいいのか。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 人工知能を備えた「恋人型ロボット」が売れる!
ロボットと人工知能の組合せによる「第四の産業革命」が起こりつつある。この革命を制する国が世界経済を制すると言われる中、日本に大きな勝機をもたらすであろう新商品があるのだ。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.