ワトソン君が変える医療の未来(1/3 ページ)
ワトソン君とは、IBMが開発を続ける最新鋭のコンピュータ。2009年に米国で開発がスタート。当初の目的はクイズ番組に出場して勝つことだったが、その後飛躍的な進化を遂げ、東大医学部と共同でがん解明に挑むようになっている。
ワトソン君とは、IBMが開発を続ける最新鋭のコンピュータである。もともとは質問応答システムとして2009年に米国で開発スタート。その目的は、クイズ番組に出場し勝つことだった。2年後に見事に勝ちを納めたワトソン君は、その後飛躍的な進化を遂げ、東大医学部と共同でがん解明に挑むようになっている。
ワトソン君は、どう進化したのか
1997年、IBMはスーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」を開発し、当時のチェス世界チャンピオン、カスパロフ氏を破った。「ワトソン」は、ディープ・ブルーに続くIBMのコンピュータ・プロジェクトである。その当初の目的はクイズ番組に出場して勝つことだった。
そのために、ワトソン君は本や百科事典など2億ページ分のテキストデータをスキャンして取り込んだ。これは、AI領域で最近注目されているディープ・ラーニングや機械学習とは、若干異なるアプローチである。とはいえ、自然言語を理解・学習する能力に秀でており、その結果がクイズ番組での勝利につながった。
要するにクイズで出題される問題を理解し、自分(という表現は少し妙かもしれないが)の中にあるデータベースを参照し、クイズの答えを作り出すことに見事に成功したのだ。これがどれだけ優れた技術であるかは、2億ページ分のデータを自分の中に記憶し、必要に応じて瞬時に引き出すことのできる人間がいないことを思えば、容易に理解できるだろう。ワトソン君は、その後も進化を続け、2015年には東京大学医科学研究所でがん解明に挑むことになった。
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