少子高齢化もなんのその 島村楽器の業績が好調なワケ:水曜インタビュー劇場(楽器公演)(6/7 ページ)
少子高齢化なので、島村楽器の業績は厳しいだろうなあ……と思っていたら、店舗数・売上高ともに右肩上がり。好調な理由を聞いたところ、客商売の基本を徹底していることが分かってきた。
今後は教室や販売以外のことも
土肥: どれどれ(ページを開いて)、「経営に対する考え方」とか「仕事に対する取り組み姿勢」などが書かれていますね。
伊地: アルバイトにも配っていて、毎朝、みんなで読み合わせをしています。ちなみに、現在店長をしている人のうち、4分の1はアルバイト経験者なんですよ。バンドをやっていてライブハウスなどで演奏するために働く……という人が多いのですが、働いているうちに仕事が面白くなって、正社員になって、店長になってというケースが多いですね。
土肥: ほー。アルバイトで働く人たちに、経営理念などが書かれた手帳を渡すって珍しいのではないでしょうか。あなたが働いている会社の経営理念を教えてください? と聞いて、答えることができるサラリーマンってどのくらいいるのでしょうか。ちなみに、ワタクシの場合……(自主規制)。会社で隣の席に座っているFくんは、社歴10年弱。今度、アイティメディアの経営理念って知ってる? と聞いてみますよ。
――後日、Fくんに聞いてみたところ、「えっ、そんなのあるんですか?」と答えていました。
土肥: いやはや、それにしても島村楽器って奥が深いですねえ。お客は楽器を買ったら絶対に困るはず。「うまく弾けないなあ」という問題が発生する。そうした問題に対して、フォローする。フォローするためには、スタッフの能力を高めなければいけない。その能力は楽器の知識といった話ではなくて、“人間力”でなければいけない。人間力を高めなければ、この商売はうまくいかないということですね。
伊地: はい。これまで音楽教室、楽器販売を中心に行ってきましたが、「音楽を教える」「楽器を売る」だけではよくないなあと感じています。音楽を楽しむ人を一人でも多くつくるためにはどうすればいいのか。音楽を長く楽しんでもらうためにはどうすればいいのか。そのために、私たちは何ができるのか。そのようなことを考えていたら、今後は教室や販売以外のことをやっていかなければいけないのかもしれません。
土肥: どういう意味でしょうか?
伊地: まだ具体的なことは決まっていないのですが、楽器の修理にチカラを入れていかなければいけないのかもしれません。いまも修理のブースがあって、技術者が常駐している店がいくつかあるのですが、まだまだ認知されていません。「この店には修理ができる人がいる」ということをきちんとアピールして、お客さまがそうした店で自分の楽器をきちんとメンテナンスできるようにしたいなあと。楽器は「歯」同じようなものですから。
土肥: は(歯)あ?
関連記事
- 売上過去最高! 知られざる「島村楽器」のルーツ
島村楽器が売り上げをグングン伸ばしている。ショッピングセンター内を歩いていると、同社の看板をよく目にするが、ルーツを知らない人も多いのでは? 島村楽器・広報課に話を聞いたところ、意外な事実が……。 - 生産中止! 大苦戦していたブラックサンダーが、なぜ“売れ続けて”いるのか
30円のブラックサンダーを食べたことがある人も多いはず。年間1億個以上も売れているヒット商品だが、発売当初は全く売れなかった。一度は生産中止に追い込まれたのに、なぜ“国民の駄菓子”にまで成長することができたのか。 - 眼鏡がいらなくなる? 世界初の「ピンホールコンタクトレンズ」にびっくり
近視や老眼をコンタクトレンズ1枚でカバーできる「ピンホールコンタクトレンズ」をご存じだろうか。現在、臨床研究を進めていて、2017年度中の商品化を目指しているという。どのような原理でできているかというと……。 - 累計260万丁! 工具「ネジザウルス」がバカ売れした理由
これまで“絶対にはずせない”と思われてきたネジを、“絶対にはずす”工具「ネジザウルス」(運営:エンジニア)をご存じだろうか。工具は年間1万丁売れれば大ヒットと言われている中、ネジザウルスは累計260万丁も販売。消費者の心を“つかんだ”理由について、同社の高崎社長に聞いた。 - 日本人のここがズレている! このままでは「観光立国」になれません
「訪日客が1300万人を突破」といったニュースを目にすると、「日本は観光立国になったなあ」と思われる人もいるだろうが、本当にそうなのか。文化財を修繕する小西美術工藝社のアトキンソン社長は「日本は『観光後進国』だ」と指摘する。その意味とは……。 - 飛行機に“最後に乗る”のはどんな人か 羽田空港を分析
飛行機に乗るとき「できれば早く乗りたい」という人もいれば、「できれば最後に乗りたい」という人もいる。搭乗口で最後に手続きを済ませているのはどのような人なのか。羽田空港で飛行機の遅延分析をされている、JALの担当者に話を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.