知られざる、金沢工業大学の巧みなマーケティング戦略(1/3 ページ)
金沢工業大学はマーケティング戦略が巧みである。少子化により大学淘汰が加速する時代、大学もマーケティング戦略の巧緻によって勝ち残りが決まる。
著者プロフィール:竹林篤実(たけばやし・あつみ)
東大寺学園高校卒業、京都大学文学部卒業。印刷会社営業職、デザイン事務所ディレクター、広告代理店プランナーなどを経て、2004年にコミュニケーション研究所の代表。ブログ:「だから問題はコミュニケーションにあるんだよ」
金沢工業大学といっても、ご存じない方が多いかもしれない。石川県野々市市にある工業大学である。地方の、私立の、単科大学を、わざわざ取り上げる理由は、その巧みなマーケティング戦略にある。少子化により大学淘汰(とうた)が加速する時代である。大学もマーケティング戦略の巧緻により、勝ち残りが決まる。
相次ぐ大学の募集停止
筆者の地元、関西圏では昨秋から、大学の募集停止が相次いでいる。2015年11月には京都聖母女学院短期大学が、2017年度以降の学生募集を停止、2016年に入って6月に、大阪女子短期大学、神戸山手短期大学も募集停止となり、2019年度に廃止予定となっている。
神戸山手短期大学は、1950年に全国で最初に開学した短大149校のうちの1校であり、短大の老舗的存在である。1999年のピーク時には、学生数が1800人を超えた。15年には、経営悪化で閉校した神戸夙川学院大学の学生を受け入れてもいた。生き残りをかけて2004年には、女子短大から共学校へと転換していたが、それでも定員割れが続き、ついに閉校せざるを得ない状態にまで追い詰められた。
2018年から18歳人口はさらに減少する。大学の数は明らかに飽和状態であり、各大学は生き残りを懸けて新たな事業展開に取り組んでいる。
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