え、空港にそんなクルマがあるの? 深夜に出動する特殊車両:水曜インタビュー劇場(空港のクルマ公演)(3/7 ページ)
空港で働いているクルマといえば、飛行機をターミナルから押し出す「トーイングカー」を想像する人が多いのでは。しかし空港内には、夜中に作業するクルマが存在している。航空会社ではなく、国交省が管理するクルマはどんなことをしているのだろうか。担当者に話を聞いた。
クルマの後方に測定器が付いている
土肥: 次に、滑走路のすべりの程度を測定する「摩擦係数測定車」について話を聞かせてください。このクルマはどういったときに活動するのでしょうか?
担当者: 飛行機は高速で離発着するので、滑走路が滑りやい状態だとスリップしたり、止まれなかったりして、危険な状況に陥るかもしれません。そうならないために、規定の摩擦係数を維持しなければいけません。規定の数値を維持しているかどうかを把握するために、このクルマを使って測定しているんですよね。
土肥: なぜ滑りやすくなるのでしょうか?
担当者: 飛行機が着陸したときに、摩擦熱でタイヤのゴムが滑走路に付着するんですよね。そうすると、摩擦係数が低下してしまう。あと、寒い地域では、雪や氷の影響で滑りやすい状況になるんですよね。
ちなみに、滑走路には細い溝が切られています。その溝は「グルービング」と呼ばれていて、サイズは深さ6ミリ、幅6ミリ、間隔32ミリ。なぜ溝を切っているかというと、雨が降っているときに路面の排水を速やかに行うことができるから。でも、その部分にタイヤのゴムが付いてしまうと滑りやすくなるので、特殊なクルマを使って計測しているんです。
土肥: どのように計測しているのですか?
担当者: クルマの後方に測定器が付いています。小さなタイヤなのですが、それを地面に接地させて測定します。
測定する際、同じ条件でなければいけません。測定器の前面に水を噴射しながら計測するんですよね(雪が降っているとき、水は噴射しない)。また、クルマは時速95キロで走行して、基準値の範囲内かどうかを判断しています。水をまいて、95キロで走行する――これは世界的に決まっています。ちなみに、クルマは50センチ幅で計測しているんですよ。
土肥: それって難しくありませんか?
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