日本よりも先に、中国がサッカーW杯で優勝する(かも):世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
中国企業が欧州サッカー界に惜しみなく投資している。日本代表の長友佑都が所属するインテルを買収したほか、本田圭佑が活躍するACミランも、中国企業が買収するのではないかとうわさされている。巨額の資金を投じることで、中国サッカーのレベルは向上する!?
中国がW杯で世界を制覇する日
これだけの視聴者がいることを考えると、そのうち中国企業が関与するチームに、企業側の意向によって中国人選手が所属するなんてケースも増えてくるだろう。そうなれば、さらに視聴者が増え、チャンスを与えられた選手が成長すれば、中国人選手のクオリティ上昇に貢献することもあるはずだ。残念ながら、CSやケーブルTVなどの割高の有料チャンネルでなければレベルの高い欧州サッカーを十分に楽しめない日本とは、今後差が出てしまう可能性もある。
もちろん、欧州のクラブをあちこちで買収したり、大物選手を多数連れて来たり、ファンを増やしたからといって、短期間で中国のナショナルチームや国内リーグのレベルが上がるということはないだろう。事実、タイやマレーシア、インドといったサッカー弱小国のビジネスマンたちも欧州リーグに投資をしているが、それが自国のレベル向上につながっている気配はない。
また中国のサッカー界に今も課題が多いことは間違いない。これまでに大物外国人選手に対する給料未払い問題が浮上してトラブルになったこともあるし、汚職問題や八百長疑惑などのイメージは今も消え去ってはいない。
ただここまで述べてきた通り、国を挙げた大々的な取り組みは注目に値するし、中長期的に見れば、中国サッカーのレベルは今よりも格段に向上するはずだ。中国が金にものを言わせてサッカーに投資を続けていけば、日本よりも先に、中国がW杯で世界を制覇してしまう可能性は十分に考えられるのである。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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