データで見る、「トランプ大統領」が誕生する可能性:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
米国大統領選挙に向けた共和党大会で、ドナルド・トランプが正式候補に指名された。「このままの勢いで大統領になるかも」と思われたかもしれないが、さまざまな調査をみると、トランプが大統領になる可能性はかなり低いようだ。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
7月18日から、米オハイオ州クリーブランドで、米大統領選の共和党指名候補を正式に決める共和党大会が開幕した(参照リンク)。
21日までの日程で行われる大会で、自らの実力で全国の共和党代議員の過半数を掴(つか)み取った不動産王のドナルド・トランプが正式な共和党候補に指名された。
今回の党大会では、トランプを支持できないとして大物たちが欠席する事態になった。共和党の大統領候補だったミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事やジョン・マケイン上院議員、さらに党大会が行われたオハイオ州のジョン・ケーシック知事も欠席。さらに、ジョージ・W・ブッシュ前大統領も姿を見せていない。
共和党重鎮らによるトランプ躍進に対する最後の抵抗だったが、残念ながら、彼らがどれだけ大物であっても、もはやその結果を覆すことはできない。彼らは「トランプ候補」という現実を受け止めるしかないのだ。
共和党予備選を通して強さを見せてきたトランプだが、5月に指名獲得をほぼ確実にしてから、その勢いは停滞気味である。日本では、トランプが5月にメキシコ系米国人の連邦地裁判事に対して人種差別的発言をしたことが顰蹙(ひんしゅく)を買って勢いが落ちたと述べているコメンテーターもいるが、彼の人種差別的発言は今に始まったことではない。そもそも白人が9割を占める共和党内での指名候補争いには、そうした発言が効果的だった。
実際には、トランプが共和党指名候補の座を確実にしたことで選挙戦が共和党の枠を超えたため、そうした発言などが逆効果に作用している。要するに、トランプが大統領本選で勝てる人物ではないことが改めて浮き彫りになっているのである。米国のメディアでもその現実を指摘する声があちこちで見られ、トランプが大統領になる可能性はほとんどないという見方すら出ている。
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