データで見る、「トランプ大統領」が誕生する可能性:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
米国大統領選挙に向けた共和党大会で、ドナルド・トランプが正式候補に指名された。「このままの勢いで大統領になるかも」と思われたかもしれないが、さまざまな調査をみると、トランプが大統領になる可能性はかなり低いようだ。
トランプが勝利する可能性は低い
まず簡単に米大統領選について説明したい。2大政党である民主党と共和党が、まずそれぞれ予備選を行って7月の党大会で指名候補者を決め、11月の本選に向けて戦う。本選では、全米50州それぞれの州で、有権者が民主党または共和党指名候補を支持する選挙人(代表者)に投票を行う。多くの選挙人を獲得した指名候補が、最終的に州のすべての選挙人を獲得する。これは勝者総取りと言われる方式だ(総取りを行わないのは2州のみ)。選挙人は合計で538人で、過半数となる270人以上を獲得した候補が大統領になる。
大統領選の本選では、多くの州で民主党・共和党のどちらが有利なのかが事前に分かっている。どういうことかというと、過去の選挙の傾向から、投票する前からだいだい民主党または共和党のどちらが勝利しそうかが予測できるのである。例えば、カリフォルニア州は過去の投票から今回も民主党の候補がほぼ勝利すると見られているし、テキサス州は1980年からこれまでずっと共和党の候補が勝利している。
ただ選挙のたびにどちらかに振れるのか読めない州がある。そういう州はスウィング・ステート(浮動票の多い激戦州)と呼ばれ、大統領選の勝敗のカギを握るほど重要な州となる。言うなれば、スウィング・ステートを制すれば勝者になれる可能性が高い。米政治専門紙の『ポリティコ紙』は、2016年の大統領本選でスウィング・ステートとなるのは次の11州だと見ている(参照リンク)。コロラド州、フロリダ州、アイオワ州、ミシガン州、ネヴァダ州、ニューハンプシャー州、ノース・カロライナ州、オハイオ州、ペンシルベニア州、バージニア州、ウィスコンシン州である。
同紙はこれらスウィング・ステートを中心にトランプとクリントンの支持率をモニターしている。それによれば、過去1カ月以上のさまざまな世論調査を平均すると、現在トランプの支持率は38.8%。一方のクリントンは44.1%であり、どの調査を見ても今のところトランプは劣勢に置かれている。
共和党予備選で全世界の話題をさらうほどの躍進を見せたトランプだったが、すべての有権者を対象にした本選の争いになると、その勢いはかすれてしまっているようだ。これからの選挙戦で何か予想だにしないことが起きない限り、トランプが勝利する可能性は低そうだ。
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