苦闘20年! 中国でローソンの店舗数がやっと伸びてきた理由:水曜インタビュー劇場(上海公演)(6/7 ページ)
中国で、ローソンの店舗数が伸びている。2年半で、2.5倍ほど拡大したわけだが、現場ではどのような手を打ってきたのだろうか。現地でマーケティングを担当している吉田涼平さんに話を聞いた。
スイーツを買う人も健康志向
吉田: ちょっと気になったので市場調査をしました。すると、ハーゲンダッツは月餅のアイスを発売していますし、スターバックスでも特殊な月餅を扱っていました。「現地の人にとって月餅は身近なスイーツだけれども、違う味を求めているのではないか」という仮説を立てて、月餅の味に近いケーキを開発することにしました。
すると、ものすごく売れたんです。抹茶味、チョコ味、イチゴ味といった定番のフレーバーだけでなく、季節限定としてマンゴー味も発売したり。ちょっと変わったフレーバーとして、ドリアンも発売しました。フレーバーは常時2〜3種類用意していて、他のスイーツと比べて2〜3倍売れているんですよ。
土肥: おー、それはそれは。
吉田: 上海郊外に店を出したとき、月餅のスイーツが1日に150個ほど売れました。ある店では、1日に100個以上売れる日が1カ月以上も続きました。
土肥: 日本でケーキが1日に100個以上も売れることは?
吉田: なかなかないですね。なぜ、郊外でスイーツが売れるのか。郊外に行けば行くほど、スイーツの専門店がないんですよね。というわけで、コンビニでスイーツを購入される人が多いのではないでしょうか。ちなみに、スイーツを購入した人のデータをみると、健康志向であることが分かってきました。
土肥: スイーツって砂糖などをたくさん使うので、健康食とはなかなか言えないような。
吉田: 5年ほど前は、「砂糖がたくさん入っているスイーツ=高級品」と思われていました。しかし、最近は「甘さ控えめ」「本格的なミルク味」といったモノを好む人が増えてきました。
なぜ、スイーツのジャンルにも健康志向が広がってきているかというと、海外旅行に行く人が増えてきたからではないでしょうか。以前はたくさんの砂糖がたくさん入ったモノを好む人が多かったという話をしましたが、海外で甘さ控えめのスイーツを食べることで、嗜好が変化してきているのかもしれません。先ほど月餅の話をしましたが、中国の伝統的なモノよりも、最近は洋菓子のほうを好まれる傾向がありますので。
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