4年で1億台以上も消滅! 凋落するPC市場に未来はあるのか?(2/4 ページ)
PC市場の縮小が止まらない。米ガートナーなどの調べによると、この4年でPC出荷台数は1億台以上も減少、市場規模は約3分の2になってしまった。このままこの市場は縮小の一途を辿るのだろうか……?
市場は3分の2に縮小
PC市場の縮小傾向は、日本でも同じだ。
業界団体である一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)の調べによると、2015年度のPCの国内出荷実績は、前年比22.6%減の711万台という大幅な縮小だ。そして、2012年度の市場規模と比較してみると、当時の実績1115万台から36.2%減。世界市場と同様に3分の2の規模にまで減少したことが分かる。
特に落ち込みが大きいのが、デスクトップPCで前年比32.1%減。2012年度から比較すると42.1%減となっている。一方でノートPCは前年比18.9%減にとどまっているが、2012年度と比較すると34.1%減と、やはり3分の2の規模にまで縮小している。今年に入ってから、業界内では世界、日本ともに共通して「6掛け」という言葉が使われている。
こうしたPC市場の縮小はどんな状況を生むことになるのか。
まずはPCメーカーの寡占化だ。PCの特徴は、CPUやOSなどの主要製品が標準化されており、その調達価格は「量」に影響されるという点にある。つまり、大量に調達できるメーカーほど、CPUやOSを安く抑え、それを最終製品の価格へと反映できる。単純に言えば、同じPCを使った場合、シェアの高いメーカーの方が圧倒的に安いPCを作ることができるのだ。
市場縮小の結果、淘汰(とうた)が進むと、価格競争力を持たない中堅のPCメーカーは苦戦を強いられることになるのは明らかだ。それがここ数年のPC市場の再編につながっている。
とはいえ、中堅PCメーカーのシェアを食い始めた大手PCメーカーも決して順風満帆とはいえない。ここ3年で3分の2まで市場が縮小した分を、これだけではカバーしきれないからだ。
実は最近、PCメーカーにおいて開発投資を絞り込むという動きがあちこちで見られ始めている。もともと利益率が低いPC業界だけに、市場規模の縮小は、粗利の絶対額の確保にはマイナスに働く。当然、この分は開発投資の縮小にも直結するというわけだ。
開発投資が縮小すれば、ユニークなPCが登場しないことにつながりかねない。そして、ユニークなPCが登場しなければ、PC市場を活性化することができず、市場がさらに小さくなるという悪循環に陥る。普及価格帯の製品ばかりが増えても、それが市場活性化の潤滑剤になるとは言い難い。
日本では、パナソニックやVAIO、マウスコンピューターなどが、事業規模が小さくても、付加価値を追求したPCを生産。ユニークなPCを投入することに成功しているが、最終製品の価格がやや高くても、こうしたPCメーカーが存在していることは、市場の活性化にはプラスなのだ。
だが、この手法が新興国で通用するとはいえない。とくに、スマホによる代替が可能な領域が増えており、コミュニケーションにおいてはより威力を発揮するスマホを選択するユーザー層が少なくないのが実態だ。
PCメーカー首脳の間からは、「PCは絶対になくならない」という声があるものの、その一方で、業界として、新たな提案を行ってこなかったことが市場縮小の原因だったとの反省の声が上がる。
例えば、PCの利用の多くが、WordやExcelといったOfficeアプリケーションによる生産性向上であったり、メールを中心としたコミュニケーションやインターネットによる動画視聴であったりということは、10年以上変わらない。それがPCの新たな需要層を開拓できなかった原因というわけだ。このままではPC市場が衰退の一歩を辿るのは明らかだ。
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