いま職場で“若き老害”が増えている:新連載・常見陽平の「若き老害」論(2/3 ページ)
「老害」の概念が変化してきている。いわば「老害」の「若年化」ともいえる問題だ。この連載では、常見陽平が職場にはびこる「若き老害」という現象を全6回シリーズで読み解く。
なぜ老害の若年化が起こっているのか
「世代」が細かくなってきている上、世代内での格差も進む。人材マネジメントも変化し、年齢に関係ない抜てきが行われるようになる。一方、仕事の進め方も変化する。会社だってビジネスモデルが変わっていく。結果として「若き老害」たちが出現しているのだ。
職場における年齢構成の変化、組織内での仕事の任せ方、昇進・昇格のスピード、成果主義の広がり、健康や美容のメソッドの進化――などにより私たちの「加齢」のルールは、変化している。
単純に年齢と共に成長したり、老いていくわけではなくなっている(もちろん、年齢が物理的に減ることはありえないが)。精神的加齢、肉体的加齢、社会的加齢、組織的加齢のルールが乱れた状態になっていると言えないだろうか。
それこそ、B'zの稲葉浩志氏やMr.Childrenの桜井和寿氏はいつまであのルックス、芸風なのか。「40男」「中年」のSMAP中居正広氏はいつまで「中居君」と呼ばれるのか。嵐のメンバーも30代にも関わらず「櫻井君」「二宮君」と呼ばれるのは無理がないか――これもまた、「加齢」のルールが崩壊した状況を物語るものである。
芸能界にはいじりたいネタが他にもいっぱいあるが、この業界というのはあくまで「キャラ」を「演じる」世界だから良い。問題は、職場の件だ。企業においても、加齢のルールは乱れつつある。
前述したように、人材マネジメントのルールが変わったこと、年齢構成の変化などからである。雇用形態の多様化も影響を与えている。年齢より見た目もやることも若い(下手したら、幼い)人もいる一方で、年齢は若いのに「老害化」している社員が出現している。いわば「若き老害」とも言える人たちだ。
自らが広義の「ゆとり教育世代」であり言われもない差別や偏見の対象となるにも関わらずさらに少し下の世代を見下す者、上場前に入社したが故にあとから来た社員を見下すベンチャー企業社員、同じく20代の若者が創った会社がそのまま10年くらい時間が経ち、若いオジサンだらけの組織になっている例などだ。
採用が少ない年に入社したが故に、若い割には出世して、老害と化している場合もある。さらには、企業がビジネスモデルを大きく変更したことで、新しい商品・サービスについていけていない人たちもそうだ。
これら若き老害たちによくある行動(あるある例)としては、
- 自分の小さな成功体験を大きく語り、俺は若い頃凄かったと言い出す(伝説になるのが早すぎ)
- 『俺の頃は……』と自分の新人時代を語りだす(勤務し始めて数年であるにも関わらず)
- 企画書の書き方を細かく指導する(自分のパワポ技の凄さをアピールする。一方で後輩が色やフォント、アニメを使いすぎると叱りだす)
- 自分も成長しなくてはいけない立場なのに「あいつも成長してきたな」的な話をする。
などだ。あなたの職場にもいないだろうか。
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