世界のトップリーダーは、どんな休暇を送っているのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)
国のトップは忙しい日々を送っているが、夏休みはどのように過ごしているのだろうか。多くの指導者はリゾート地でゆっくりとした時間を過ごしているが、中にはそうでもない人もいる。例えば、ロシアのプーチン大統領は……。
度肝を抜くようなバケーション
フランスつながりで言えば、度肝を抜くようなバケーションをフランスで送ろうとして顰蹙(ひんしゅく)を買ったトップリーダーがいる。サウジアラビアのサルマン国王だ。
国王は2015年に南仏のコートダジュールで休暇を送ることになった。そして取り巻きなど1000人あまりの大所帯でフランス入りしたのだが、実はその準備段階から地元で大騒動になった。というのも、サウジ側が、国王の滞在する別荘の周囲で違法な工事を開始したり、国王が利用するとして一般向けのビーチと、ビーチまでの海域300メートルを立ち入り禁止にしたり、宗教的な理由かどうか分からないがビーチで泳ぐ姿を女性に見られないように警備担当の女性警官をビーチ周辺から立ち去るよう要請していたことが判明した。
ビーチ封鎖については、それを知った地元民が、ビーチの私物化はフランスの法律違反だとして封鎖反対のキャンペーン活動を行い、15万人ほどの署名が集まった。だが地元のビジネス関係者は、国王一団は地元経済を活性化させるとして、逆に一行を歓迎する署名活動を行う事態になった。
事実、国王一行は周辺のホテルを500部屋も予約していた。だが結局、国王歓迎の署名は400人ほどしか集まらず、またこうした一連の騒動により、一行は1カ月ほど滞在予定を早く切り上げ、1週間ほどでフランスを離れることになった。そしてもっと融通の利くモロッコで残りの休暇を過ごしたとみられている。
サルマン国王ほどではないが、ロシアのウラジミール・プーチン大統領も「豪快な休暇」で知られる。といっても、こちらは大金が動くような景気のいいものではなく、プーチン様のナルシシズム全開な休暇である。国内各地で、アイスホッケーに興じたり、上半身裸で乗馬を楽しんだり、バタフライを泳いで見せたり、大型バイクを走らせてみたり、雪の中で愛犬と戯れる姿も公開している。お気に入りの観光地であるソチには、最近辞任を求める署名活動が行われて話題になっているドミトリー・メドベージェフ首相とよく出かけて、釣りや射撃などレクリエーションを楽しんでいた。
とにかく、プーチンはまるでPRと自己主張のために休暇を取っているかのような状況になっている。
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