あなた「らしさ」とは? このように聞かれてどう答えますか:「売れる商品」の原動力(3/4 ページ)
「自分らしく」「うちの会社らしく」など、しばしば私たちは「らしさ」という言葉を、使います。ところが「では、あなたらしさとは?」と問われると、案外、答えはスラスラと出てこないものです。
モチベーションに直結する「独自性」の発見
強いチームで勝ち抜いているアスリートたちからは、しばしば「このチームで戦えることを誇りに思う」「このチームの一員として試合に臨めることを誇りに思う」という言葉が発せられます。
そこには所属するチームに対する「誇り」と「愛着」がにじみ出ています。強いチームには、この選手個々が抱く「誇り」と「愛着」があるのです。それは結果を出すチームに“不可欠”な要素と言ってもいいでしょう。なぜなら、「誇り」と「愛着」こそが、選手たちのモチベーションそのものだからです。
かつて広告会社に勤務していた時に、私が関わらせていただいた仕事の1つに三菱鉛筆のお仕事がありました。明治20年(1887年)創業の、日本の筆記文具の老舗です。
同社のロングセラー商品に「POSCA(ポスカ)」という水性顔料インクのマーカーがあります。1983年の発売ですから、誰もが目にしたことがあるでしょう。どんな素材にでもポスターカラーのビビッドな色が載り、しかも重ね書きできるという特性で人気となり、販売促進用のPOPなどには欠かせないツールとして定着しました。
とくに、細書きタイプの登場でプリクラに文字や絵を書きこむ女子中高生たちの間では定番アイテムとなり、また欧州などでもアーティストに注目されるなど、国内外でその認知は不動のものとなりました。
ただ、IT時代の進展と共に筆記具の需要に陰りが生じたことに加え、家庭での日常的な利用では使われる場面が今一つ広がらず、発売30周年の2013年を前に、売り上げは横ばいになっていました。
そこでご相談いただいたのは、この「POSCA」の売り上げを再び伸ばしていくにはどうしたらいいかというものでした。同社にとってはすでにロングセラーの商品であり、それこそ若い社員にすれば生まれる前から存在していた商材です。そこにあって当たり前で、逆に言えば今さら特別に何かをアピールできるアイテムではなかったのかもしれません。
まずは三菱鉛筆の社員の方々に、この「POSCA」を家に持ち帰って使っていただきました。あるいは友達にワンセットさしあげたりして、何でもいいので「POSCA」を使った作品を持ち寄るという“宿題”を作ったのです。
関連記事
- 「石原さとみの眉が細くなったら日本は危ない」は本当か
女優・石原さとみさんの眉がどんどん細くなっている。彼女のファンからは「そんなのどーでもいいことでしょ」といった声が飛んできそうだが、筆者の窪田さんは「日本経済にとって深刻な事態」という。なぜなら……。 - 売上過去最高! 知られざる「島村楽器」のルーツ
島村楽器が売り上げをグングン伸ばしている。ショッピングセンター内を歩いていると、同社の看板をよく目にするが、ルーツを知らない人も多いのでは? 島村楽器・広報課に話を聞いたところ、意外な事実が……。 - 「マルちゃん ハイラーメン」が静岡だけで50年以上も売られているワケ
静岡県で発売されている「マルちゃん ハイラーメン」をご存じだろうか。発売は1962年。新商品はたくさん発売されているのに、なぜハイラーメンは静岡県だけで生き残ることができたのだろうか。 - 「富士そば」人気の秘密を探ってみる
ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、人気企業・人気商品の裏側を解説する連載。今回は売上高と店舗数を伸ばす、立ち食いそばの「名代 富士そば」を読み解く。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.