あなた「らしさ」とは? このように聞かれてどう答えますか:「売れる商品」の原動力(4/4 ページ)
「自分らしく」「うちの会社らしく」など、しばしば私たちは「らしさ」という言葉を、使います。ところが「では、あなたらしさとは?」と問われると、案外、答えはスラスラと出てこないものです。
「POSCA」の魅力を再発見
すると、どういうことが起きたか。社員自身が「この商品、意外と面白い」「こんな楽しい使い方ができた」と「POSCA」の魅力を再発見していったのです。こうなると、営業の人たちが得意先を回る時も、ものすごく自然に「これ意外といいんですよ」と伝えたくなります。自分たちが面白さを発見した使い方を提案する販促活動を進めていくと、かつてプリクラ世代だったママたちを中心に、反響が広がっていきました。
私は、その直後に会社を退職したので、その後どうなったのか、詳しくは知りませんでした。先日、たまたま同社の方とお会いしたら「あれから、どうなったか知ってますか?」と笑顔でおっしゃるのです。商品そのものは変えていないのに、売れ行きが伸び続けているというではありませんか。
それをうかがって、私は改めて「誇り」と「愛着」によって生み出される力を実感しました。よく“モチベーションが上がる”という言い方をしますが、それはハイテンションになるような一時的な感情のたかぶりでもなければ、「やる気」を出す出さないという話でもありません。具体的には「誇り」と「愛着」を強く持つということなのです。
では、その「誇り」と「愛着」はどこから生まれるのか。上司から“誇りと愛着を持て!”と命令されて持てるものではありません。それはチームであれ商品であれ、そのものの「らしさ」「独自性」を発見することから生まれるのです。
あえて言えば弱点や欠点さえも含めた、自分にとってのかけがえのなさ。所属するチーム、売ろうとする商品、暮らす地域。それが他とは違うかけがえのないものだと実感できた時に、人はおのずから、そこに最大限に貢献したいと強く願うのではないでしょうか。貢献できることそのものが、その人にとって幸福だからです。
(つづく)
関連記事
- 「石原さとみの眉が細くなったら日本は危ない」は本当か
女優・石原さとみさんの眉がどんどん細くなっている。彼女のファンからは「そんなのどーでもいいことでしょ」といった声が飛んできそうだが、筆者の窪田さんは「日本経済にとって深刻な事態」という。なぜなら……。 - 売上過去最高! 知られざる「島村楽器」のルーツ
島村楽器が売り上げをグングン伸ばしている。ショッピングセンター内を歩いていると、同社の看板をよく目にするが、ルーツを知らない人も多いのでは? 島村楽器・広報課に話を聞いたところ、意外な事実が……。 - 「マルちゃん ハイラーメン」が静岡だけで50年以上も売られているワケ
静岡県で発売されている「マルちゃん ハイラーメン」をご存じだろうか。発売は1962年。新商品はたくさん発売されているのに、なぜハイラーメンは静岡県だけで生き残ることができたのだろうか。 - 「富士そば」人気の秘密を探ってみる
ジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、人気企業・人気商品の裏側を解説する連載。今回は売上高と店舗数を伸ばす、立ち食いそばの「名代 富士そば」を読み解く。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.