スマホとVRビジネスはどうなる? HTC NIPPONの玉野社長に聞く:甲斐寿憲のキニナルモバイル(4/5 ページ)
日本市場に初のAndroidスマートフォンを投入したHTCが存在感を見せ始めている。最新のハイスペックスマートフォン「HTC 10」の販売が好調なほか、VR「Vive」も注目されている。変化のスピードが速い中で、次々に新製品を投入しているHTC NIPPONの玉野社長に話を聞いた。
ViveでVR市場を牽引しはじめたHTC
――HTCはVR機器「HTC Vive」(※)を日本市場に投入しました。玉野社長から見て、日本市場でのVR、HTC Viveの可能性についてお話を聞かせてください。
玉野: 初めて世の中にViveを発表したのは2015年のバルセロナ(MWC、携帯電話関連の世界最大の国際見本市)なのですが、その前年にPC向けゲーム配信サービス・バブル社と共同開発しました。その後、約5000社以上のゲームデベロッパーに開発キットを提供し、1年間フィードバックをいただきました。そして今年正式に製品として発表したわけですが、なぜHTCがVRを手がけたのかといいますと、答えは1つしかありません。「HTCだから」なんです(笑)。
――どういう意味でしょうか?
玉野: 「最高のVR製品にしたい」という想いがありました。なぜ最高のモノにしなければいけなかったというと、「早く飽きられてしまう恐れがある」から。例えば、3Dテレビが一時期市場に投入されましたが、ハードの中途半端さ、コンテンツ不足などから一般化する前にフェイドアウトしました。
そのようなことにならないためにコンテンツとそれを支えるハード(VR機器、それを接続するPC)をそろえることで、「ビジネスとして盛り上がる」と考えました。パートナー各社とは1年ほど仕込んできまして、結果、15万円ほどでViveに対応できるPCが登場し、Vive本体価格(9万9800円・税抜)を合わせて、25万円ほどで最高のVRを体験できる環境を整えることができました。コンテンツも400タイトルを超えています。
――Viveの普及の環境は整ったということですね。ソニーもPlaystation VRを市場に投入します。
玉野: PlayStation VRが出ることによって、VR市場に注目が集まるのではないでしょうか。ただ、PlayStation VRとViveのVR体験は全く違うものです。それがルームスケールVRです。Viveでは縦横3m×4m、対角5mの部屋の範囲にいるプレイヤーの頭部の向き、位置までをリアルタイムに検出することができます。この範囲であれば自由に歩き回ることができ、仮想空間の中を移動することが可能なのです。このルームスケールVRがViveの大きなポイントです。
その違いを多くの人に知ってもらえるように、全国各地に体験できるスポットを増やしていこうと思っています。VRは体験してもらわないと、その没入感(対象に意識が注がれ他の事が気にならなくなる様子や、その度合い)や世界観は伝わらないので。
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