「ブランドビジョン」を構成する“7つの要素”とは:「売れる商品」の原動力(3/3 ページ)
ブランディングがうまくいかない企業は、パーソナリティーが曖昧です。人気のあるブランドやお店というのは、技術や商品の確かさだけでなく、世の中から見た“ビジョン”がハッキリしています。
何を約束し、何を保証するのか
「シンボル」は、文字通りそれを“象徴”するものであり、それを見るとそのブランドを想起することがらです。一番分かりやすいのはロゴマークでしょう。ただ、これは簡単な話ではありません。なんとなく会社のロゴマークの一つもあったほうがいいのかなという感覚でマークを設定し、取りあえず自社製品につけてみた、ということでは困るのです。
商品に付与されているシンボルとしてのマークは、A社が製造したからA社のマークをつけましたよということだけではありません。そのマークが与えられていることによって、お客さまや社会に“何を約束し、何を保証するのか”という意味合いが重要なのです。誰もが知っている有名なものを挙げれば、ルイ・ヴィトンのあのLとVを組み合わせたロゴマークや、アップル社のリンゴのマークです。
サービスを提供するような会社であれば、そこで働いている「人」がシンボルになる場合もあるでしょう。運送会社である佐川急便のイケメン「セールスドライバー」を扱った『佐川男子』という書籍がずいぶんと話題になったそうですが、営業先でお客さまとやりとりする現場においては、まさに「人」こそがシンボルになるのです。
あるいは、経営者がその会社のブランドを背負ったシンボルとして世の中に露出する場合もあります。「ジャパネットたかた」の創業者・高田明氏もそうですし、美容関係や飲食業界でも、そうしたケースはしばしばあります。経営者が持っている優れた技能や、雰囲気、人柄、バックボーン、信頼などがその会社を際立たせていくのならば、経営者自身がシンボルになることもあり得るでしょう。
いずれにせよ、それがロゴマークであれ、社員や経営者という「人」であれ、シンボルというのは単についていればいいとか、カッコよければいいとか、目立てばいいというものではありません。シンボルとは、“ブランドがターゲットと共有することがら”そのものなのです。iPhoneやiPadについている、あの小さなリンゴのマークがそれだけで人々の心をザワザワとさせるのは、そこにスティーブ・ジョブズの卓抜した発想を想起するからなのです。
1の「潜在的能力」、2の「パーソナリティー」、3の「シンボル」を背景にして、そのブランドが提供する具体的なモノやコトが4の「機能的価値」です。そのブランドを通して得られる体験や経験といった具体的な価値です。
(つづく)
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