「美食の国」イタリアで、“ベジタリアン・シティ”構想が盛り上がっている背景:来週話題になるハナシ(2/3 ページ)
イタリアのトリノ市全体を「ベジタリアン・シティ」にする、という動きがある。「美食の国」イタリアでそのような話が浮上するのはちょっと信じられないが、動きの背景には意外な事実がある。それは……。
国政を巻き込んだ騒動に
ただ現在のところ、家畜が環境破壊につながっているという認識が一般的には低いため、共感を得にくい状況にある。そこでその事実を知ってもらうために、学校などでどう地球や動物を守りながら栄養バランスのとれた食事をとるのか、まず子どもたちを対象にして教育するプロジェクトを立ち上げる計画だという。
しかし、このマニフェストが国政も巻き込んだ騒動になっている。イタリア議会で異議を唱える意見が挙がり、8月に女性議員によってベジタリアン食を子どもに強要させる親を罰する法案が提出された。
ベジタリアンの食事では子どもの成長に必要な栄養素が十分に摂取できないことを、この法案は問題視している。もし子どもにベジタリアン食を強要して有罪になれば、親は最大で4年、また、子どもが病気になった場合は最低でも2年以上の禁固刑が課されることになる。
かなり強硬な法案だと言えるが、法案が提出された背景には、近年ベジタリアン食の強要がイタリアで問題になっていることがある。象徴的な例は、2016年にベジタリアン食で子どもが栄養失調になった事例だ。
ミラノで起こったこのケースでは、ベジタリアン食で育てられていた1歳の男児が病院に運ばれたのだが、体重が生後3カ月の子どもと同じ5キログラム程度しかなかったそうだ。血液を調べたところ、男児は栄養失調でカルシウムの数値はかろうじて生存できる程度で、心臓の状態が悪く緊急手術を受けることになった。
もちろん成長過程の子どもへの行き過ぎた食事制限は問題だが、一方で、ベジタリアン食にはメリットもあり人気が出ているのも事実だ。トリノでは、ここ数年で急激にベジタリアン向けのレストランが増えている。現在30件ほどあるレストランのほとんどが、最近オープンしたばかりだという。
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