シェイクシャックは日本で「第二のスタバ」になれるのか?:消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(4/4 ページ)
昨年11月に日本初上陸したニューヨークの人気ハンバーガーショップ「シェイクシャック」が国内出店を加速させている。本国でもいまだ行列ができるシェイクシャックの強さとは一体何だろうか?
第二のスタバになるには
スターバックスが日本に上陸したのは1996年。コーヒーの風味を楽しむために店内を禁煙とし、家や職場ではなく、個人がくつろげる場所である「サードプレイス」というコンセプトを実体化。また、自分でコーヒーのトッピングなどをカスタマイズして楽しむという新しいカフェスタイルを日本に持ち込んだ。スターバックスを受け入れ、定着させたのは、1979年以降生まれのバブル後世代を中心とする、バブル崩壊を契機に登場した新しい価値観を持つ人たちだ。
シェイクシャックが第二のスタバになるには、消費市場における世代交代のタイミングで新しい世代に受容されることが条件となる。その世代は、21世紀に生まれ、アベノミクスで育った新しい世代である。
JMR生活総合研究所ではこの世代を21世紀生まれということで「ニイチ世代」と定義している。当社が独自で調査分析し、毎年発行している「消費社会白書2016」の結果から見て、彼らは不況下で育った上の世代とは異なり、将来は自分次第で何とかなるという前向きな価値観を持ち、得意分野を極めたいというエキスパート志向である。何より中身がないものを嫌う世代だ。
この世代に受け入れられ、さらにほかの世代にも広がっていけるかどうかが、シェイクシャック人気が一過性にとどまらずに続いていく鍵になるだろう。
著者プロフィール
村田多恵子(むらた たえこ)
JMR生活総合研究所ビジネスディベロップメントマネージャー。消費財メーカーの商品開発、ブランド戦略、コミュニケーション戦略立案に広く携わる。生活者視点からの市場理解に基づく問題解決に取り組んでいる。
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