『沿線格差』の著者に聞く、10年後に注目されそうな沿線・駅はココだ:水曜インタビュー劇場(鉄道公演)(4/7 ページ)
家探しをしているときに「沿線」や「駅」を考慮に入れる人も多いのでは。首都圏でいうと「田園都市線がいいなあ」とか「吉祥寺駅がいいなあ」といった感じで。では、これから注目されそうな沿線・駅はどこか。『沿線格差』(SB新書)の著者に聞いたところ……。
バス停には「拠点力」が乏しい
小川: 私も初めてその光景を見たときには「なぜ、タクシーが停車しているのか」意味がよく分かりませんでした。駅が使われていないので、人はほとんどいません。ですが、タクシーはお客さんを待っている。じーっと見ていると、お客さんが来るんですよね。どこからともなく。
土肥: なんと。鉄道は走っていないけれど、駅前にはタクシーが停まっていると思っているわけですね。
小川: また、ドライバーの携帯電話に連絡が入るんですよ。「ウチの家まで来てほしい」と。じゃあ、タクシー会社の駐車場で待っていればいいのでは? と思われるかもしれませんが、多くの人は「タクシーの乗り場=駅前」と意識しているのではないでしょうか。
土肥: ドライバーの携帯電話に連絡した人も「駅前に停車しているタクシーに連絡した」と思っているかもしれない。
小川: 拠点力のことを考えると、路面電車の駅とバスの停留所では明らかに違いがありますよね。駅前には人だけでなく、さまざまなコンテンツが集まっていますが、バス停でそのようなところってほとんどないですよね。先ほど「路面電車をバスにしたら?」といった意見がありましたが、駅ではなくバス停にしたら「拠点力」が失われて、その街の活力が失われていく可能性があるんですよね。
土肥: ふむ。それにしてもなぜ鉄道の駅には拠点力があって、バスの停留所にはそのようなチカラがないのでしょうか?
小川: 道路って基本的に行政が開発していますよね。一方の鉄道にも税金が投入されていますが、基本的には事業会社が運営している。道路は道をつくれば基本的に終わりですが、鉄道は線路をひっぱれば終わり……ではないんです。鉄道会社は、その沿線を活性化させるために、駅前にビルを建てたり、マンションをつくったり、商業施設をオープンしたりします。そのようなこをして、人を集めなければいけません。人を集めることができなければ、鉄道を利用してくれませんからね。
関連記事
- 「YAMAHA」のプールが、学校でどんどん増えていったワケ
「ヤマハ発動機」といえば、多くの人が「バイクやヨットをつくっている会社でしょ」と想像するだろうが、実はプール事業も手掛けているのだ。しかも、学校用のプールはこれまで6000基以上も出荷していて、トップブランドとして君臨。なぜ同社のプールが増えていったのかというと……。 - “手先が伸びて縮むだけ”のロボットが、「在庫ゼロ」になるほど売れている理由
「ロボット」と聞けば、複雑な動きをするモノ――。といったイメージをしている人も多いと思うが、手先が伸縮するだけのロボットが売れている。トヨタ自動車やオムロンといった大企業が導入していて、現在の在庫は「ゼロ」。なぜ多くの企業が、単純な動きをするロボットを求めているのか。 - 眼鏡がいらなくなる? 世界初の「ピンホールコンタクトレンズ」にびっくり
近視や老眼をコンタクトレンズ1枚でカバーできる「ピンホールコンタクトレンズ」をご存じだろうか。現在、臨床研究を進めていて、2017年度中の商品化を目指しているという。どのような原理でできているかというと……。 - ジャポニカ学習帳の表紙から「昆虫」が消えた、本当の理由
ジャポニカ学習帳の表紙といえば、「昆虫」の写真を思い浮かべる人も多いだろうが、数年前に昆虫が消えた。教師や保護者から「昆虫が気持ち悪いから変えてほしい」といった要望があって、発売元のショウワノートが削除したというが、本当にそうなのか? - なぜ学校のプールで「水泳帽子」をかぶるのか 知られざる下町企業のチカラ
プールの授業で使っていた「水泳帽子」はどこのメーカーでしたか? このように聞かれて、即答できる人はほとんどいないはず。多くの人は考えたこともないだろうが、いまから50年ほど前に水泳帽子が生まれ、市場をつくってきた会社がある。東京の下町にある「フットマーク」という会社だ。 - 生産中止! 大苦戦していたブラックサンダーが、なぜ“売れ続けて”いるのか
30円のブラックサンダーを食べたことがある人も多いはず。年間1億個以上も売れているヒット商品だが、発売当初は全く売れなかった。一度は生産中止に追い込まれたのに、なぜ“国民の駄菓子”にまで成長することができたのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.