『沿線格差』の著者に聞く、10年後に注目されそうな沿線・駅はココだ:水曜インタビュー劇場(鉄道公演)(6/7 ページ)
家探しをしているときに「沿線」や「駅」を考慮に入れる人も多いのでは。首都圏でいうと「田園都市線がいいなあ」とか「吉祥寺駅がいいなあ」といった感じで。では、これから注目されそうな沿線・駅はどこか。『沿線格差』(SB新書)の著者に聞いたところ……。
「東京駅」に注目
土肥: 沿線では都営荒川線を注目されているということですが、駅はいかがでしょうか? この駅の周辺に人が集まりそうなところってあるでしょうか?
小川: 東京駅ですね。
土肥: 東京駅! もうすでに駅周辺にたくさんのビルが建ち並んでいますが、ますます利用者が増えるということですか?
小川: 利用者が増えるだけでなく、東京駅の近くに住む人も増えるのではないでしょうか。
土肥: いやいや、それは難しいのでは。東京駅周辺をみると、高層ビルだらけで人が住めるようなスペースなんてありませんよね。以前、はとバスに乗ったとき、ガイドさんが「(東京駅近くの)丸の内に住んでいる人は2人しかいません」と言っていました。いまはどうか分かりませんが、それほど人が住める環境ではないかと。
小川: 10年、20年後には、働き方が大きく変化しているでしょう。仕事にもよりますが、PCがあれば……いや、スマートフォンがあれば仕事ができるようになる。わざわざ会社に足を運んでで仕事する必要がなくなってくるので、「通勤」という概念が大きく変わるはず。
週に1日、打ち合わせのために会社へ行く……という人であれば、わざわざ土地の価格が高い中心部に住む必要がないので、「郊外で住む」人が増えていくはず。もちろん、全員が郊外に住むという話ではありません。都心で住みたいという人もたくさんいるので、山手線の内側に住む人と、郊外に住む人の二極化が進むと思うんですよね。
土肥: 郊外に住む人が増えるということですが、どのあたりですか?
小川: 現在、通勤の交通費は10万円まで非課税となっていますが、自民党内で「30万円まで引き上げてもいいのでは」といった議論が進んでいるんですよね。もし、これが実現するとどうなるか。例えば、新幹線で東京―浜松間を移動すると、1カ月の定期料金は18万4980円。移動時間は1時間30分ほどなので、浜松あたりに住む人が増えてくるかもしれません。毎日出社する必要のない人であれば、そもそも定期が不要ですよね。浜松に住んで会社に通勤する……というよりも出社という概念になる。
もちろん浜松だけでなく、東京駅から1時間30分ほどで移動できるエリアに住む人が増えるのではないでしょうか。というわけで、今後伸びる駅はどこか? と聞かれると、私は東京の起点「東京駅」と答えます。
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