あなたのその愛想笑いは要注意かもしれない:世界を読み解くニュース・サロン(2/3 ページ)
日本では一般的に、「笑顔」は好印象なイメージと結びついている。では、海外はどうか。ある調査によると、意外な傾向が……。
インテリジェントさを印象付けるには
まず知性については、44カ国のうち、ドイツやスイス、マレーシア、中国、オーストリア、エジプトなど18カ国は、笑顔によって人が知性的に見えると考えていることが判明した。その一方で、ロシアやフランス、イラン、インド、韓国、そして日本の6カ国では、ニコニコしている人を知的ではなく、どちらかというと「バカ」だと感じることが分かった。
ここに日本が入ってくるのを不思議に思うかもしれないが、これはあくまで「知的」に見えるかどうかが問題であり、好印象と知的さはイコールではない。確かに日本では、ヘラヘラすることはいいイメージを与えないし、企業や著名人の記者会見などでも、笑顔を含む顔の表情が注視される傾向がある。謝罪会見で苦笑でもしようものなら、メディアなどから総攻撃を受けたり、ネット上で炎上したりしかねない。
またフランスやロシアは確かにあまり笑顔のイメージがない。フランス人はツンとして「笑顔を返さない」と言われることが多いし、ロシアにはこの調査結果の正しさを示すかのように「理由なき笑顔は愚かさの証である」ということわざがある。インド人も知らない人に対してあまり笑顔を見せないと言われる。
この知性の結果から分かることは、海外で商談などをするビジネスパーソンは、ドイツや中国といった国では、笑顔を絶やさないことが大事だということだろう。一方、日本や韓国、ロシアなどでは商談やミーティングの場ではなるべくニコニコしないほうが、インテリジェントさを相手に印象付けることができるということだ。
では誠実さはどうか。44カ国中37カ国で、笑顔の人のほうが、そうでない人よりも誠実に見えることが分かった。特に誠実だと見る国々は、例えばスイス、オーストラリア、フィリピンなどだ。これらの国では、警察に職務質問などされても、笑顔で答えるといいのかもしれない。
逆に、インド、アルゼンチン、モルジブ、インドネシア、ジンバブエ、イランの7カ国では笑顔は不誠実さを示すと見られるという。そしてこれら7カ国は、世界の汚職度ランキングでも上位に入る国々であり、この論文では汚職度の高い国々では笑顔を「怪しい」と見ていると考えていいと結論付けている。またこうした国々は医療保険制度や裁判所などの社会システムが不安定であり、それが将来の生活への不安感を生み、そんな状況でヘラヘラしている人に周囲はポジティブなイメージをもたないという。
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