コンセプトは「世界初」 イケメン大暴れ『HiGH&LOW』が10代女子の心をツカむ理由(2/4 ページ)
LDHグループ総出演の総合エンターテイメントプロジェクト『HiGH&LOW』。コンテンツとメディアミックスの成功例として学ぶべき点が多い本作は、何を目指して生まれたのか? 日本テレビ植野浩之プロデューサーに聞いた。
ストーリーよりも、キャラクター
――企画は「こういうお話にしよう!」という形で作り上げていったんですか?
植野: いえ、ストーリーというより、キャラクターがメインです。「どういう人がいたら面白いかな」「どういう衣装を着ているのかな」「チームを象徴するのはどういうマークかな」「このチームの人たちはどういう名前かな」と、キャラクターを作り上げていきました。
――『HiGH&LOW』には、「ムゲン」「雨宮兄弟」「山王連合会」「White Rascals」「鬼邪(おや)高校」「RUDE BOYS」「達磨一家」といった個性豊かなチームが登場します。それぞれにキャッチコピーやテーマソング、チームマークなどがあるのが特徴です。ちょっと、ファッションブランドに近いなという印象を受けました。
植野: 『HiGH&LOW』という大きなブランドがあって、その中にチームという派生ブランドがあるというのは近いかもしれないですね。
――本作にはLDHのアーティストや俳優以外の出演者も多いです。窪田正孝さんや斎藤工さん、林遣都さんや山田裕貴さんなど、人気俳優や勢いのある若手俳優も多数出演している。LDHだけで作品を作らなかったのはどうしてなんでしょうか?
植野: 広がりの問題です。他の事務所の今をときめく俳優に「一緒にやりましょう」とお願いをして出てもらいました。演技の専門家である俳優と、専門家ではないけれど独特の華があるアーティストをミックスすることで、相乗効果も狙っています。
あとは、いろんな方に参加していただくことで、「『HiGH&LOW』はLDHと日本テレビが勝手に立ち上げたブランドではなくて、たくさんの人が賛同してくれているプロジェクトなんだ」と思ってもらいたいという気持ちもあります。
――出演者のファンが、新しく作品のファンになっているのではないでしょうか。どうして支持されたと考えてらっしゃいますか?
植野: 僕たちは「この世界観や、こういうキャラクターがいい!」と思って作っている。僕たちの中で「これが一番ササる!」と確信を持てて、テンションが上がるものを信じて出しています。でもそれがヒットする場合もあれば、ヒットしない場合もある。決めるのはユーザーなので、「僕たちがいいと思っているものを、みんなはいいと思ってくれるはずだ!」という感覚ではありません。いいと思って出しているものを、どういう風に一般の層に興味を持ってもらえるか、仕掛けを作っていくという感じです。
――『HiGH&LOW』の仕掛けはなんだったんでしょうか。
植野: どういうふうに一般の層に落としていけるのか、知らせていくのか。どういう風に興味を持ってもらうのかっていうことを考えて仕掛けをつくります。宣伝でいうと、公開までに20週連続でトレーラーを公開しています。これは映画でも初の試みだと思います。
――また“初めて”ですね。
植野: はい(笑)。全国200ヶ所での舞台あいさつも初じゃないでしょうか。それから、コンセプトを“全員主役”にして、主役をあんまり定めていません。LDHのファンも、他事務所からの出演者のファンも、それぞれに楽しめる作品になっている。映画の観客層は圧倒的にティーンが多いですが、実は、男性のファンもけっこう多いんですよ。
――意外です。男性ファンはどこに引かれているのでしょう?
植野: アクション、ファッション、音楽。これは他の作品にはないものです。アクションは『るろうに剣心』のアクション監督を招いて「日本映画でこれよりすごいものはほぼない」と言えるくらいのものになっているし、ファッションもこれ以上にオシャレなものはないと言い切れる。……ちょっと偉そうに聞こえますかね(笑)。でもそれくらいの気持ちで作っています。音楽も、それぞれのチームにテーマ曲がついて、アルバムまで出しています。こういう“一流のもの”って、男の人も好き。そこに引きつけられているのだと思います。
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