東京商工リサーチの調査によると、9月時点で福祉・介護事業の倒産件数が累計77件に達し、昨年更新した年間最多の76件を上回ったことが分かった。「小規模で、参入間もない新規事業者の倒産が増えて件数を押し上げている」(同社)という。
倒産した事業者のうち、設立5年以内の事業者が約半数の36件(46.7%)。従業員数5人未満が53件(前年同期比39.4%増)となっており、小規模事業者の倒産が全体の約7割(68.8%)を占めている。
原因別では、販売不振が最も多く、51件(66.2%)だった。前年同期比(25件)では、約2倍増。「安易な起業だけでなく、本業不振のため異業種からの参入失敗や過小資本でのFC加盟など、事前準備や事業計画が甘い小規模の業者が想定通りに業績を上げられず経営に行き詰ったケースが多い」(同社)という。
同社は「昨年4月の介護報酬改定では、基本報酬がダウンした一方、充実したサービスを行う施設への加算は拡充された。だが、小規模事業者は加算の条件を満たすことが難しいだけに経営基盤が脆く、経営体力に乏しい小規模事業者への影響は小さくない」と分析している。
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