日本人、それってオカシイよ 「過労死」を生む日本企業の“常識”:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
過労死の問題が話題になっている。この問題に対して、海外メディアはどのように報じているのか。「労働時間」「残業」「休暇の取得」などは常識の範囲内で行っているつもりかもしれないが、外国人からは“非常識”に映っているようだ。
日本人の労働生産性
日本人の労働生産性は世界的に見て、非常に低く、ほかのOECD諸国より劣る。ちなみに、世界各国は1時間でどれほどのGDPを生み出しているのか。ランキングにするとこうなる(2014年)。
1. ルクセンブルグ 79.3ドル
2. ノルウェー 79ドル
3. アイルランド 64ドル
4. 米国 62.5ドル
5. ベルギー 62.2ドル
6. オランダ 60.9ドル
7. フランス 60.3ドル
8. ドイツ 59.1ドル
(G7の平均は54.5ドル)
いかに日本の生産性が悪いかが分かるだろう。エコノミストの指摘を見れば、過労死をなくすには、日本の非効率な労働を見直す必要があるということなのだ。どうすれば米国などのように、時間内に帰れるのかを真剣に議論しなければならないのである。
最近、国際的に活躍する日本人と、外国の企業などで世界中の人たちと働く際の苦労について話をした。筆者も米国やシンガポールで働いた経験がある。日本人は、仕事が細かく丁寧で、まじめで時間に厳しく、人の良さから同僚などの仕事も助けてしまう。
一方の外国人はどうか。誤解を恐れずに言うと、日本人以外は基本的に「いい加減」である。自分の仕事しかしないし、気が利かない。そして日本人が集まると、外国人は「使えない」「ダメダメだ」などと愚痴るのだが、実はそれが普通なのかもしれない。事実、労働生産性のランキングを見ると大きな差はないどころか、日本人は劣っているのである。
これから分かることは、過労死対策として日本は強制的に労働時間を減らすしかないのではないか。そして生産性を上げるようにする。東京都の小池百合子知事は9月14日に都庁での「20時以降の残業禁止」を発表したが、これは素晴らしい提案である。例えばドイツ労働省は2013年から勤務時間後に上司が職員に連絡するのを禁止しており、同様の対策はすでに世界では始まっている。
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