小久保工業所、なぜヒット商品がどんどん世に出るのか:水曜インタビュー劇場(アイデア公演)(5/5 ページ)
和歌山県に本社を構える「小久保工業所」をご存じだろうか。従業員80人ほどの会社なのに、新商品を年間100種類ほどリリースし、次々にヒット商品が誕生している。なぜ、こんなスゴいことができるのか。同社の社長に話を聞いた。
転んでもただでは起きぬ
土肥: 年に100種類ほどの新商品を開発して、ヒット商品をたくさん出している。しかし、世の中に10割バッターっていないと思うんですよ。たくさんの新商品を出していると、鳴かず飛ばずの商品もあったのではないでしょうか?
小久保: 全球ホームランを狙って商品を開発しているのですが、残念ながら……売れなかった商品があります。例えば、「おさるはんワンタッチハンガー」。
土肥: おさるはん? 何ですかそれは? 使用方法を見ると「(1)洗濯物の中に『おさるはん』を通し、横に回転させます。(2)洗濯物の下から手を入れ、レバーを押し上げて両肩をひろげるように調節します。(3)竿にハンド部を平行に押し当てながら、挟み込んでセット完了です。(4)取り込む際は、レバーを押し下げると、洗濯物がスムーズに取り込めます」と書かれいますが、うーん……一読しただけではよく分からないですね。
小久保: 使わないときには真っすぐになって、ひろげるとハンガーになるんですよね。少しねじるだけで、洗濯物を取ることができることをウリにしたのですが……売れませんでした。
土肥: お菓子メーカーが変わった味の商品を出すことで、話題になることがありますよね。「コーンポタージュ味のアイス」「スイカ味のチョコレート」といった感じで。
小久保: 「おさるはん」はヒットしませんでしたが、宣伝広告費のひとつとして考えることにしました。ちょっと変わった商品を出すことで、周囲の人たちはこのように感じてくれるのではないでしょうか。「小久保工業所って、なんでもやるなあ」「変わった商品を出すなあ」と。こうして認知度が広がればいいかなあと。
土肥: 転んでもただでは起きぬ、ですね。本日はありがとうございました。
(終わり)
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ビジネス書が苦手……という人でも大丈夫。商品を開発した人はどのような苦労があったのか。その商品を売る人はどのような工夫をしたのか。マーケティングや消費者の行動などを分かりやすく解説していますので、オススメの1冊です!
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