山手線・品川新駅の魅力を高める「田町始発」電車:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/4 ページ)
JR東日本が建設している「品川新駅」について、広大な開発用地の使い道や駅舎のデザインなどが話題になった。ここで、もう1つ重要な話をしよう。駅にとって大切な列車の運行計画だ。
環境都市から国際都市「サウスゲート」へ
品川駅・田町駅周辺地域は、古くから東海道の宿場町として栄え、日本で初めての鉄道が開業した地域である。戦後は羽田空港・大井埠頭との結節点として、東京都心に対して南の玄関となった。しかし、戦後に商業地として大発展したほかの地域に比べると、大名屋敷などの歴史があるだけに、旧態依然とした区画が残り、大規模開発は進まなかった。
国土交通省は、日本の大都市にある低利用地について開発を促すため、2000年に「都市再生推進事業制度要綱」を定めた。これは主に、地価高騰によって大規模工場が郊外へ移転したような、空き地の多い都市の再生を促進するための制度だ。JR東日本の田町車両センターの移転はまさに企業の大規模移転にあたる。
その事情を考慮され、2004年に品川駅・田町駅周辺地域が「都市・居住環境整備重点地域」に指定された。そこで東京都は、JR東日本が開発する旧車両基地エリアと、品川駅、田町駅周辺を総合的に再開発する基本計画「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン(以下、ガイドラインと略)」を策定した。
ガイドラインの内容は、この地域の周辺環境、国や都からの要請によってたびたび更新されている。当初は環境面を前面に出し、水と風をテーマとした都市開発を掲げた。この基本理念は変わっていないけれども、ガイドラインの2014年版からは地域の将来像として、「これからの日本の成長をけん引する国際交流拠点・品川」を大きなテーマとしている。
この背景には、地域から近い羽田空港の再国際化、空港に関連してLCC(格安航空会社)の躍進、京浜急行の空港線重点施策がある。視野を拡大すれば、成田空港についてもJRの成田エクスプレス、都営地下鉄・京成線経由のアクセス、首都高速湾岸線を経由するバス路線の整備がある。圏央道や中央環状線、東京湾アクアラインによって道路交通の核にもなった。
さらに、東海道新幹線の品川駅開業、品川駅を起点とするリニア中央新幹線の整備が加わった。太平洋ベルト地帯、東名阪の軌道系アクセスも充実するから、海外と国内主要都市との結節点としても期待されている。品川に拠点があれば、国内外の都市へアクセスしやすい。このメリットに注目して「東京サウスゲート」が合い言葉になった。
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