「インプレッサ」生産もスタート 好調でも手堅く 富士重の米国事業(2/2 ページ)
富士重工業が最大市場の米国で自動車販売台数を伸ばしている。足元の新車市場には停滞感も漂うが、市場や在庫の状況を慎重に見極めながら現地生産を増やし、さらなる販売拡大を目指す。
「若干品薄」を維持
一方、足元の新車市場には停滞感が漂っている。米オートデータが発表した10月の米国新車販売台数は前年同月比5.8%減の137万2000台。3カ月連続で前年を下回った。ガソリン価格が安いことを背景にライトトラックの販売が増加したが、乗用車は1割以上の減少。先行き不透明感が強まっている。
富士重は、車の供給が足りない状態が続いていたことから、当面は好調な販売が続くと見ている。しかし、生産台数が増えれば、急な市場の変化に対応できずに収益を減らすリスクも大きくなる。
懸念を踏まえ、足元の状況に合わせて計画も見直している。今期の米国生産計画台数は、前回公表時よりも5000台下方修正した。レガシィのディーラー在庫が増えていることが要因だという。在庫の状況を見ながら、現地生産の増加ペースを慎重に上げていく方針だ。
吉永社長は「『若干品薄』くらいの状況を維持して販売の勢いを継続したい。供給が増えれば、本当の意味でかじ取りが大事になる」と話している。
激化している販売競争に対しては、独自のスタイルを維持しながら販売台数の拡大を図る。実績に応じて販売店に支払うインセンティブ(報奨金)は業界平均で3000ドルを超え、増加傾向にある。富士重も「現状の900〜1200ドルから、1300〜1400ドルに若干積み増してもいい」(吉永社長)という考えだが、低く抑える方針を維持するようだ。
吉永社長は「ビジネスモデルを守ることが最優先」と繰り返す。今期は円高の影響で減収減益を見込む。1台1台慎重に販売を増やしてブランド力を高めることが、この局面を乗り切る鍵となりそうだ。
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