なぜ衛星データビジネスでAWSが活用されるのか?:宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)
今、衛星業界でAmazonをはじめとするクラウドサービスの利活用が進んでいるのをご存じだろうか。今回は、欧州、米国、日本それぞれの最新事例を紹介したい。
アクセルスペースがAmazonと提携
欧米で進むクラウドサービスの活用だが、日本でも同様の動きが出始めている。2022年に向けて小型衛星50機による地球観測システム「Axel Globe」の構築を進めるベンチャー企業、アクセルスペースが先日、Amazon Web Service Japanとの提携を発表した。
具体的には、年間7ペタバイト以上も増加するAxelGlobeの膨大な衛星データをクラウド環境で管理する場合の最適な手法を検討するとともに、撮影画像のオープンデータ化に向けた取り組みを開始したという。これに関連して、既に打ち上げている「ほどよし1号機」から得られた画像をダウンロードできるWebサイトを公開した。
同社は三井不動産、三井物産、アマナなどとも提携を発表しており、衛星データの活用による高度化を実現していく戦略だ。
世界的に進む衛星データ量の増加と、それに向けたクラウドサービスの活用。基盤が整うことで、衛星データの利活用がどこまで促進されていくのか見守りたい。
著者プロフィール
石田 真康(MASAYASU ISHIDA)
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル
ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、10年超のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。民間宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE2015」企画委員会代表。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。主要メディアへの執筆のほか、講演・セミナー多数。
関連記事
- 「数百万人が宇宙で暮らす世に」――Amazon・ベゾスCEOがコロラドで語った未来とは?
先ごろ開催された全米最大規模の宇宙カンファレンス「Space Symposium」にて、米Amazonのジェフ・ベゾスCEOが宇宙ビジネスに関する将来ビジョンを語った。実に壮大だがリアリティある内容だったのだ。 - 米政府機関が注力するハリケーン進路予測、その精度やいかに?
自然災害はやっかいだ。そんな中、米国ではハリケーンによる被害軽減などのために気象関連のビッグデータを活用できないかという点に、大いに関心が高まっている。 - ビル・ゲイツや世界銀行も注目する衛星利用ベンチャーとは?
今、衛星利用ベンチャーが数千万ドル規模の投資を受けるケースが増えている。そこにはビル・ゲイツ氏や世界銀行などが注目する新技術があるからだ。 - 深刻化する宇宙の「ゴミ問題」
地球低軌道上には破砕破片や人工衛星など、スペース・デブリと言われる「宇宙のゴミ」が100万個以上も存在するという。これが今、深刻な問題となっているのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.