通称“海のF1レース”、ついに日本初開催のアメリカズカップとは何か?:日本チームも久々に挑戦(1/5 ページ)
1851年から続く世界最古の国際ヨットレース「アメリカズカップ」が、長い歴史の中で初めてアジアで開催された。予選レース「ワールドシリーズ」の最終戦となった福岡大会のレポートとともに、同カップが“海のF1”と呼ばれるゆえんなどを伝える。
「泰平の眠りを覚ます上喜撰 たつた四杯で夜も眠れず」
この有名な狂歌を見聞きしたことがある人は多いだろう。1853年、長らく鎖国状態にあった江戸時代の日本に、米国海軍のマシュー・ペリーが率いる東インド艦隊の蒸気船を含む艦船4隻がやって来て開国を迫った、いわゆる「黒船来航」事件をあらわした歌である。
わが国が国際化に向けてようやく動き出したその2年前――。英国のワイト島であるヨットレースが行われた。その後、このレースは脈々と続き、今では「海のF1レース」と呼ばれているのをご存じだろうか。それが世界最古のスポーツトロフィーであり、最高峰の国際ヨットレース「アメリカズカップ(America's Cup)」だ。英国発祥のレースだが、初代優勝が米国の「アメリカ号」だったことから、こうした名称が付いている。
160年以上の長い歴史を持つアメリカズカップがこのたび、予選、本戦を含めて初めてアジアで行われた。11月19〜20日、福岡県福岡市にある地行浜沖を舞台に「第35回 アメリカズカップ・ワールドシリーズ福岡大会」(ワールドシリーズ最終戦)が開催、初日のレースだけで6000人を超える観衆が集まった。
アメリカズカップ本戦は、前回大会の優勝チーム(ディフェンディングチャンピオン)と挑戦チームが1対1で争うマッチレースで、第35回大会は2017年6月に英国領バミューダで開かれる。前回王者はオラクル・チーム・USA(米国)で、その挑戦権をかけて、ランドローバー・BAR(英国)、エミレーツ・チーム・ニュージーランド(ニュージーランド)、グルパマ・チーム・フランス(仏国)、アルテミス・レーシング(スウェーデン)、そしてソフトバンク・チーム・ジャパン(日本)の5チームが争う。
ワールドシリーズは最初の予選レースで、その後、チャレンジャー選抜レースの「クオリファイヤーズ」(2017年5月26日〜6月5日、バミューダ)、チャレンジャー決定レースの「チャレンジャー・プレイオフ」(6月7日〜6月12日、同)を経て挑戦チームが決まる。
ワールドシリーズが終了した現時点で、総合トップに立つのはランドローバー・BAR。ソフトバンク・チーム・ジャパンは5位となっている。
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