ホークスの日本一に貢献した球団現場の“草の根活動”とは?:プロ野球チームの業務改革(1/4 ページ)
ソフトバンクが親会社になったことで、他球団と比べて積極的なシステム投資を行ってきた福岡ソフトバンクホークス。しかし球団スタッフであるスコアラーやスカウトなどの利活用は今一つだったという。なぜか……。
2014年10月30日、秋の深まる福岡市内のヤフオクドーム。3年ぶりの王座を狙う福岡ソフトバンクホークスが阪神タイガースを1対0で下し、日本一に輝いた。既に退任を表明していた秋山幸二監督の元に選手たちが駆け寄り胴上げ、10度も宙に舞った。
その優勝を万感の思いで見つめていた男たちがいた。福岡ソフトバンクホークスの執行役員で球団統括本部 副本部長を務める三笠杉彦氏と、同本部 編成・育成部 データ分析担当ディレクターの関本塁氏だ。彼らが所属する球団統括本部は、ホークスというチーム全体の編成にかかわる部署で、いわば球団の“縁の下の力持ち”である。
例えば、チームの行程管理やキャンプ合宿の運営などは同部署の役目。シーズン中の遠征に帯同して試合データの分析にも勤しんでいる。中でも特に球団統括本部が強く求められるのは、スコアラーなど球団スタッフの仕事をいかにスムーズに回し、効率化するかという“業務改革”なのである。
「親会社であるソフトバンクの孫正義社長の号令の下、世界一のビッグクラブになるためには投資も惜しまない。逆に言うと、資金面や環境面で制約がほぼないため、常に勝利を求められる。それがホークスなのだ」と三笠氏は強調する。
そうしたチームを後方支援し、選手や監督、コーチはもちろんのこと、スコアラーやスカウト、トレーナーなどがより野球に専念できる環境を作るために、数年前から力を注いでいるのが球団業務のシステム化である。
その具体例の1つが、スカウトやスコアラーなどが収集するさまざまなデータを、チーム全体の知見やノウハウとして蓄積できるシステムである。
「野村克也監督がいた南海時代から、元々ホークスは伝統的にデータ活用に積極的だった。しかしながら、個々での活用にとどまっていた」(三笠氏)
これまで属人化していた情報を全員で共有することで、新たな気付きが得られるような仕組み作りを目指した。
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