連載
福岡の復旧工事に海外絶賛! その裏で:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
JR博多駅近くの道路が陥没したニュースは、世界的に大きく報じられた。迅速に復旧したこともあって、海外メディアから絶賛の声が目立つが、その裏で気になることも。それは……。
地下鉄工事は危険視
世界では市の対応まで評価されているわけだが、翻って日本の反応を見ると、そもそも道路を陥没させたことに問題があったのではないのかとの指摘も出ている。事実、今回の陥没は地下鉄の工事が原因で起こった「人災」だった。
今回の陥没事故について、福岡の地元情報サイト『メディア政経9』によれば、地下鉄工事の危険性は「以前から指摘されていた」という(参照リンク)。「穴の中は、噴き出した下水などがあふれ、道路際に建つビルの地下部分がむき出しになっている。実は、以前から地下鉄工事は危険視されており、陥没は予測されていたものだった」
この地下鉄工事は、福岡市内を走る七隈線(ななくません)を延伸するためのもので2014年にスタートしている。実は、2014年にも今回の事故現場からそう遠くない場所で、陥没が起きていた。また延伸工事より前の2000年にも、七隈線関連の工事で陥没が起きているという。
福岡在住の関係者によれば、「博多などはもともと湿地で地盤は埋め立てた砂地でゆるいため地下鉄関連の工事は難しい。その上に、工事の予算があまりに少ないため、ゼネコンが大赤字を覚悟で地下鉄工事を受注している」のだという。
もちろん、海外では、原因うんぬんよりも、起きてしまった事故に対して復旧が早かったために大きく報じられた。ただ残念ながら、海外ではその原因や背景といった本質にまで迫った記事は著者の知る限りほとんど見られなかった。
関連記事
- なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 夫の不貞に耐えたのに、ヒラリーの悲しき末路
2016年の米大統領選が終わった。1年半にわたって繰り広げられた大統領選は、大方の予想に反して、不動産王のドナルド・トランプが大統領に選ばれた。トンデモ大統領が誕生するわけだが、ひとつ気になることがある。それは敗北したヒラリー・クリントンと夫であるビル・クリントン元大統領との関係だ。 - 日本人、それってオカシイよ 「過労死」を生む日本企業の“常識”
過労死の問題が話題になっている。この問題に対して、海外メディアはどのように報じているのか。「労働時間」「残業」「休暇の取得」などは常識の範囲内で行っているつもりかもしれないが、外国人からは“非常識”に映っているようだ。 - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - 日本人が知らない医療大麻の「不都合な真実」
元女優の高樹沙耶容疑者が大麻取締法違反の疑いで逮捕された。容疑者が医療大麻を推進していたこともあって、医療従事者などが「医療大麻ってものはない」「(医療大麻は)必要ない」などとコメントしていたが、本当にそうなのか。世界に目を向けると、ちょっと違うようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.