サイバー女性役員が部下に失敗させるワケ:スピード成長には理由がある(2/3 ページ)
「新人時代から営業目標を毎月のように200〜300%達成」「わずか2カ月で産休から復帰」……。サイバーエージェントで数々の偉業を成し遂げてきた執行役員の石田裕子さんは、自らがスピード成長できたのは「失敗」があったからだという。
チームメンバーにどんどん失敗させる
もう1つ、初めて営業チームのリーダー職に就いたときの失敗もあったという。
営業成績がずば抜けていた石田さんは、3年目に異例の早さでリーダー職に抜てき。年上の社員もいるようなチームのマネジメントを任される。そうした中、チームの目標達成に向けて、これまでの自身の営業経験を基に、こうすれば成果が出るからと無意識のうちにメンバーに指示をしていたのだった。
「ここまでやったんですけど、石田さん、次はどうすればいいですか?」。あるとき、石田さんは部下の一人にこう言われてはっとする。いつの間にかメンバーが自分自身で考えなくなっていたのだ。
「自分もまだ未熟なのに、この人たちを管理してやろうという変な気負いみたいなものがありました。押し付けた自覚はないけれどもメンバーに指示をするスタンスになっていて、その結果、彼らは常に私の指示待ちになっていました」
リーダーになってからも、チームの業績は好調で社内表彰されるなど、成果が出ていたので安心はしていたが、当時、「本当ならもっと伸ばせるはず」という歯がゆい思いを感じていたも事実だという。そうしたことが相まり、すぐにマネジメントスタイルを修正し、チーム全体で最大の成果を出すことを目指すようになる。
具体的にマネジメントのやり方をどう変えたのだろうか。部下から相談を受けた際、今までのように「こうすればきっと成果が出る」などと答えを教えるのではなく、あくまでそのためのヒントを提示するようにした。
「例えば、売り上げを伸ばすためのヒントは伝えますが、後はメンバー自身で考えてもらうようにしました。心の中では『そうじゃないんだよな、失敗しそうだよな……』と思いながらも、自分で決断させました」
その狙いは、メンバーに失敗をさせることだったという。「もちろん、お客さんに迷惑をかけないようにはマネジメントしていましたが、メンバーには小さなことでもいいから、どんどん失敗してもらって、それを経験値にして自分で成功パターンを見つけてほしかったのです」と石田さんは力を込める。自分自身がさまざまな失敗を糧にしてきたという自覚があるからだ。
また、メンバー個人の能力を生かすような目標設計にもした。それぞれに向き、不向きがあるので、苦手なことを我慢してまでずっとやらせるのではなく、個々人の長所をどう引き出せばチーム全体の成果につながるかという視点で考えるようにしたという。
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