小売業の未来を米ロボットレストランに見た:繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(1/4 ページ)
今、米国・サンフランシスコで人気のある、ビジネスマンなどにサラダを売るファストフード店をご存じでしょうか? 実は「ロボットレストラン」として話題を集めているのです。ここから日本の小売業の未来が見えてきました。
繁盛店から読み解くマーケティングトレンド
世の中の変化が激しく、何が成功につながるのかが分かりづらい現代社会。情報があふれる今、正しく未来を読むことは非常に難しくなっています。
このような時代に必要なのはファッズをつかむことです。ファッズとは小さな変化の波のことです。巷で流行り始めている店や、最近人が集まるようになってきた場所、売れ始めてきた商品などには大きな時流へとつながるヒントがあります。正しく未来を読むためにはファッズを見逃さないことが大切なのです。
この連載ではファッズをとらえて流行をつかむことをキーワードに、繁盛店から次のマーケティングトレンドを読み解きます。
先日、米国のシアトル、サンフランシスコへ企業視察に行ってきました。両都市ともさまざまな繁盛店を見ることができて驚き連続だったのですが、今回はサンフランシスコで視察した店舗事例をご紹介します。
テクノロジーベンチャーが集まるシリコンバレーが近隣にあるため、サンフランシスコには最新のIT技術を活用した店舗や施設が多数存在していました。その中でも特に斬新な取り組みをしていたのが「Eatsa」(イーツァ)です。この店はサラダを売るファストフード店ですが、ただのファストフードではありません。何と無人なのです。現地の人々の間でも「ロボットレストラン」として話題になっている同店の実態に迫ります。
ロボットレストランと呼ばれるわけ
サンフランシスコ滞在中に帯同していたある社長さんから「サンフランシスコにこんなおもしろい店があるらしいですよ」と教えていただいた店がありました。それがEatsaでした。
聞くところによると、店のフロント部分(接客部分)が完全に無人化されているというのです。レジのキャッシャーや接客をするスタッフがいないレストラン。一体どんなところなのかとワクワクしながら店に向かいました。
現在、Eatsaはサンフランシスコだけで4店舗展開していて、筆者が訪れたのはスピア通りの「リンカーンセンター」というオフィスビルの1Fにある店でした。平日朝7時から夕方5時までのオープンという、完全にオフィスランチ需要を狙った店です。
Eatsaに入って、改めて無人化の光景に驚きました。そこにはオーダー用のタッチパネルの受付機械が10台ほど並び、その右側に透明ボックスが20個ほどコインロッカーのように並んでいたのです。店内は顧客でにぎわっていますが、店員はいません。
接客する人がいないのでオーダーは当然セルフです。オーダー用のパネルからほしいメニューの写真をタッチして選んでいきます。現金のやり取りはなく、すべてクレジットカード決済です。そこで決済すると右側の「最新オーダー受注画面」に名前が出てきます。
関連記事
- 新商業施設「中目黒高架下」の“新時代感”
11月22日、中目黒駅の高架下に新たな商業施設「中目黒高架下」がグランドオープンしました。このところ盛り上がりを見せている「ナカメ」に誕生したこのショッピングセンターは一体どんな特徴があるのでしょうか? - ランドセルがじわじわと値上がりしている理由
平均単価は約5万円、中には15万円を超えるランドセルも。数年前から小学生向けランドセルの高価格化が進んでいます。そしてまた、値段が高くても売れているのです。その背景にはどのような消費トレンドがあるのでしょうか。 - 無名な店ばかりなのに、客が集まる商業施設が浅草にあった
消費者の目が厳しくなった今、単に安くて良いものが買えるというだけでは繁盛店にはなりません。そうした中、昨年12月に開業したばかりの東京・浅草の商業施設は、なぜ連日のように大勢の人たちで賑わっているのでしょうか。その理由を探ります。 - 年内に100店舗を計画 「相席屋」が事業を急拡大している理由
最近、繁華街で居酒屋チェーン「相席屋」の看板を見る機会が増えていないだろうか。2014年に1号店をオープンして以来、破竹の勢いで右肩上がりに売り上げや店舗数を伸ばしているのだ。さらには「マッチング」をキーワードに新たなサービスにも乗り出した。同社の取り組みに迫る。 - 本が売れない時代に本を置く異業種店が増えているのはなぜ?
出版不況が叫ばれて久しいですが、昨今、店に本を置くアパレルショップや雑貨屋、カフェなどが増えています。そして、それらは共通して繁盛しているというのです。その理由を探ります。 - 売上高53億円を超えた! 「オフィスグリコ」が成功した3つの理由
皆さんの会社には「オフィスグリコ」はあるだろうか? 江崎グリコがこのサービスを本格展開し始めてから十数年のうちに売上高は17倍以上の53億円に。その成功の秘密に迫った。 - “不毛時代”続いたカルビー「フルグラ」がなぜ急激に売れ出したのか?
カルビーが8期連続で過去最高益更新と絶好調だ。その業績を支える柱の1つがシリアル食品「フルグラ」である。この数年間で急成長を遂げており、2018年度ごろには500億円の年間売り上げを見込む。しかし以前は低迷期が長らく続いていた商品なのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.