電通、デジタル広告問題を精査 不正1.1億円に上る:広告主96社、作業件数997件
電通が、2016年9月下旬に明らかにしたデジタル広告不正問題についての精査結果を発表。実際に不適切業務があった件数や金額、不適切業務の様態、改善策などについて報告した。
広告大手の電通は1月17日、デジタル広告不正問題についての調査結果を報告した。電通は2016年9月下旬、PCやスマートフォンに掲載したデジタル広告において、表示・閲覧回数を広告主に虚偽報告したり、依頼とは異なる期間で掲載したりといったケースが見つかったと発表し、精査を行うとしていた。
調査の対象となったのは、12年11月1日から16年7月31日までに提供されたデジタル広告サービスの全件にあたる約21万4000件。
9月の時点で同社は、不適切業務の疑いがある取引について、広告主111社、作業件数633件、取引総額約2億3000億円と公表していた。今回発表の全件調査の結果、広告主96社、作業件数997件、取引総額1億1482万円であることが分かった。
また、4つの不適切業務の様態が明らかになったという。
- 事実と異なる出稿総量の報告
広告主から依頼された出稿総量を満たしていなかったが、満たしていたかのように広告主に報告した。
- 出稿実績の内訳が事実と異なる報告
出稿総量は広告主からの依頼を満たしていたが、実績が広告主の指示または期待と異なっていたため、総量には影響を与えずに、出稿実績の内訳の一部を変更して報告した。
- 日次単位の出稿実績の未報告
出稿総量と出稿実績に不適切な点はなかったが、日次単位の出稿実績の確認が行われなかったことにより、本来掲載すべき全ての日に広告が掲載されたものと誤信させた。
- 精算漏れによる概算での誤請求
広告の性質上、掲載翌月にならないと請求額が確定しないものを、掲載当月に概算金額を登録し、翌月に概算部分の精算を行わず請求した。
発生原因について、同社は「業務プロセス」「リスク管理」「人員体制」「国内デジタルグループ各社との連携不足」に問題があったと分析。これらの問題を解決し、再発を防止するために業務確認部署を独立させることのほか、不適切業務が起こらないシステムを構築すること、人材育成を進めることなどに着手するとしている。
なお、不適切業務に関係する執行役員と関係社員の処分は行っているという。
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