プチ整形「ボトックス」は医療を変えるのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/3 ページ)
「ボトックス」と聞くと、多くの人はアンチエイジングを目的に俳優などが打っている「ボトックス注射」を思い出すだろう。ただ、やりすぎて顔の表情が不自然になることも。そんなネガティブなイメージもあるが、期待されていることもある。例えば……。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
「ボトックス」と聞いてどんなイメージを抱くだろうか。
おそらく、多くの人が、アンチエイジングを目的に俳優などが打っている「ボトックス注射」を思い出すだろう。実際に、ボトックス注射には簡単にシワなどを目立たなくさせる効果があり、欧米でも女性を中心にかなり人気がある。米国では年間420万人以上がボトックスを打ち、市場規模は24億ドル規模だ。「シワ取り」という目的だけでみると、2000年から2015年までにボトックスの利用は759%も増加しているという。
米国では最近、一般男性にもボトックスが広がっている。米形成外科学会によれば、2014年に年間41万人以上の男性がボトックスを受け、この数は2000年から337%も増加していると報告されている。米メディアによると、ビジネスパーソンなどが見た目を改善してビジネスで競争に勝つために注射を受けているらしい。またSNSや自撮りなどが普及しているのも、ボトックスを受ける人が増えている理由だという。
ただボトックスというと、メスを使わない「プチ整形」などと言われ、やりすぎて顔の表情が不自然になるケースもあったりする。またボトックスはボツリヌス菌という菌からできており、食品に混じって食中毒の原因となることもあったりして、最悪の場合は死者を出すことある。
ネガティブなイメージもあるが、米国などでは今、そんなイメージが変わるかもしれないと期待されている。例えば米タイム誌は「全てを治療する薬」というタイトルで、ボトックスがさまざまな病気の治療に効果を発揮しているとして特集記事を掲載している。
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