高年俸と安定を蹴った「ムネリン」の生き方:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)
シカゴ・カブスからFAとなっていた川崎宗則内野手が、再びカブスとマイナー契約を結んだ。古巣のソフトバンクホークスから好待遇を提示されていたのに、なぜ川崎はイバラの道を選んだのか。
臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:
国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
人生、お金だけじゃない。プロ野球選手の川崎宗則内野手は、身をもってそれを示した。シカゴ・カブスからFA(フリーエージェント)となっていたが、1月4日、再びカブスとマイナー契約を締結。今季も米国の地で戦う意思を固めた。契約内容は昨年と同じで50万7500ドル(約6000万円)、メジャーに昇格すると90万ドル(約1億円)のスプリット契約が付帯条項となっているとみられている。
しかし今オフの川崎はもし6年ぶりに日本球界復帰の道を選べば、これ以上の条件を手にすることもできた。各メディアでも報道されていたように、2011年までプロ入りから12年間在籍していた福岡ソフトバンクホークスからは水面下で3年12億円の好待遇を用意され、強いラブコールを送られていたからだ。
今年6月で川崎は36歳。昨季終了直後には自ら日本メディアの取材に対して「来年も米国でやるなんて胸張って言えない」と胸の内を吐露していた。それだけに今オフは古巣復帰を決断するベストタイミングと言ってもよかった。
しかもこれだけの超破格条件だ。カブスのマイナー契約と比較すれば1年の年俸計算にして約8倍もの額を手にでき、それがたとえ黙っていたとしても3年に渡って継続できる。高い年俸と、複数年の安定が保障されれば、普通なら大きく心が傾く材料となるだろう。ソフトバンク・川崎の誕生は時間の問題と見られていた。
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