ロボット普及のカギは「まず使って試すこと」:羽田空港、ハウステンボスの狙い(1/2 ページ)
日本空港ビルデングとハウステンボスがサービスロボットの活用事例について語った。
サービス分野を中心に深刻化する人手不足。その解決策として期待されているのがサービスロボットの活用だ。既にさまざまな企業がその取り組みを加速させている。
1月18〜20日に開かれたロボット関連展示会「ロボデックス」で、羽田空港を運営する日本空港ビルデングとハウステンボスが、サービスロボットの活用事例について語った。
日本の技術を世界に発信する拠点に
日本空港ビルデングは、年間7000万人以上を輸送する世界有数の空港である羽田空港を運営する会社だ。その同社がいま注力しているのが、羽田空港内でのロボット活用を進めるプロジェクト「Haneda Robotics Lab」である。
プロジェクトの一環として2016年12月15日、国内線第2旅客ターミナル内でロボットの大規模な実証実験を開始。現在、清掃で4社、移動支援で5社、接客案内で8社の計17社のロボットが実験に参加している。
同社で実証実験に携わる事業企画部の志水潤一次長は、プロジェクト発足の理由に「旅客数の増加への対応」を挙げる。
羽田空港の発着枠は現在、年間約44万7000回だが、2020年には訪日客の増加などにより48万6000回へ増枠される見込みだ。
「旅客数の増加に伴ってサービスのニーズも多様化する。現状維持のサービスだけでは顧客の満足度を維持できない。また、生産労働人口が減少していく中で、これまで以上に労働力を確保しなければならない。2020年に向けて質の高いサービスを提供するためにもロボットの活用が求められている」(志水氏)
現在は清掃、移動支援、接客案内の分野で実証実験を進めているが、2020年までには警備や翻訳など分野にも拡大していく考えだ。「今回の実証実験を通じて、人間とロボットが互いに強みを発揮できる領域を明確に見極めて、分業化・効率化を進めていきたい」(志水氏)としている。
また、実証実験を通じて国内のロボット産業の発展を支援したいという考えもある。
「日本には優れた技術が数多くあるが、実用化が進んでいない課題もある。それは実際に使って試せる環境が少ないからだろう。私たちは空港という公共空間を実験の場として活用してもらうことで、ロボットの実用化を加速させたいと考えている。あらゆる社会課題を解決する技術を羽田空港から世界に発信していきたい」(志水氏)
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