ロボット普及のカギは「まず使って試すこと」:羽田空港、ハウステンボスの狙い(2/2 ページ)
日本空港ビルデングとハウステンボスがサービスロボットの活用事例について語った。
実用性がなくても気にしない。まずは使ってもらうこと
長崎県佐世保市でテーマパークを運営するハウステンボスも、国内外から最新のロボットをテーマパーク内に取り込み、大規模な実証実験を進めている。
同社は今年、サービスロボットの開発、販売、導入支援などを手掛けるロボット関連会社を新たに設立する予定であり、今後も市場の拡大が期待できるロボット事業に注力していく考えだ。
同社で最高技術責任者(CTO)を務める富田直美氏は「ハウステンボスは広大な実証実験のフィールド。私有地であることを生かし、世界中のあらゆる最先端技術を実際に活用することで、どこよりも早くロボット事業を加速させていく」と説明した。
「現段階で実用性や生産性が低いロボットでも、まずは取り入れていく。大切なのは、将来をわくわくさせる空間を作っていくこと。実際、さまざまな最新ロボットが集結している新エリア「ロボットの王国」(2016年6月にオープン)では、ロボットを見ているだけで楽しんでくれているユーザーは多い。実用性は後からついてくればいい」(富田氏
その「ロボットの王国」で最も話題を集めているのが「変なホテル」だ。変なホテルは2015年7月に、テーマパーク内で1号棟をオープン。フロントでは多言語対応のロボットが受付業務を行い、ロボットアームで荷物を預かるなど、ロボット活用による業務効率化を推進している。
手探りでのスタートだったが、開業当初約30人いた従業員を9人にまで削減することに成功した(144室を運営)。今年3月にオープンする2号棟(千葉県浦安市富士見)は100室を従業員6人で運営し、最終的には従業員を2〜3人に削減することを目指している。
また、82台だったロボットの台数は、現在180台を超えており、2016年11月には「初めてロボットがスタッフとして働いたホテル」としてギネス世界記録に認定された。今後は海外でも出店を加速させ、100棟以上の展開を計画している。
富田氏は「変なホテルは変わり続けるホテル。全てが完璧になってからサービスをリリースするのではなく、まずはやってみる、使ってみることが大事。顧客からのクレームを受けながら改善し続ければいい」と語る。
「コストが安くなってからロボットを導入するのでは遅い。実際に使うことでノウハウをいち早く得ることができる。実験的にサービスとして活用しながら、改善を追求し続ける。これから競争で勝ち上がっていくには、このスピード感が何よりも大切になる」(富田氏)
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