キュレーションサイト問題は人ごとではない:PV以外の価値を見いだせるか(2/2 ページ)
まとめサイトやキュレーションサイトがひどいことになっているが、企業におけるコンテンツマーケティングサイト(オウンドメディアとして)は大丈夫なのだろうか。
それでもなんとかPVを上げ、続けようとすると、ウケのいいコンテンツを狙うことになり、キュレーション的な発想が生まれる(顧客は知りたい情報のはずだ、という思いもある)。結局、広報、宣伝担当としては、PV以外に価値を表現できるものもなく、メディア化を目指すことになる。
企業の広報活動がそうしたキュレーションサイトと同様の課題を持つようになったことの、1つの原因に、評価基準(KPI)の設定があるのではないかと思う。
本質的にコンテンツマーケティングは、広告ではなくコンテンツの共感が目的なので、PVやインプレッションというよりも、見込み客としての育成、あるいは顧客とのリレーション開発を重視すべきなのだが、基本的には、PVしか評価の対象にはなっていない。というか、宣伝やマーケティング担当の管理職には、PVしか興味ない人が圧倒的に多い。
コンテンツマーケティングの出現は、こうした従来広告モデルに警鐘を鳴らす役目だったはずなのだが、結局は、効果測定の仕組みの中に埋もれてしまい、適切な運用ができなくなってきている。コンテンツマーケティングの本質が理解できていないために、配信するコンテンツと広告が同じ土俵に乗ってしまっているため、著作権のあるコンテンツが自社配信の広告と同じように扱われてしまっているという、ケースすらある。
最近は、こうした流れを受け、ビューアビリティやアドベリフィケーションといった、広告枠の品質を評価し、コントロールするような仕組みもある、また、広告枠を集めマーケットをつくっていくイメージのPMP(プライベートマーケットプレイス)という仕組みも生まれているが、それとて万能ではなく、配信側として仕組みさえ使えば問題ない、ということにもならないだろう。
企業のオウンドメディアの盛衰にもかかわるキュレーションの問題は、企業にとって、あらためてコンテンツマーケティングのありようを考えるべきいいきっかけとしたいものだ。(猪口真)
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