日本のお笑い芸人が世界に比べて「終わっている」は本当か:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
脳科学者の茂木健一郎氏が、「日本のお笑いはつまらない」とツイートして話題になった。一方、米国のトークショーは社会問題などを取り上げていることが多いが、ネタはコメディアンがつくっているのか。米国のテレビ局で働いた経験がある筆者によると……。
権力者らをイジって笑い飛ばす空気
正直言って、何がお笑いの「国際水準」であり、「国際水準」がどこにあるのか著者には分からない。また、米国のお笑いが日本のものより優れているとする理由も聞いてみたいものだ。批判された人たちはたまったものではない。
ちなみに、米国のスタンドアップでは何が面白いのか分からない雑談のようなものも少なくない。そういう笑いに比べれば、日本のベテラン漫才師の漫才などはかなり面白い。米国などと比べると日本が「終わっている」ことはないのである。
とはいえ、著者も茂木氏が言うように、「政治風刺」などを本格的にやる番組は日本でもぜひやってほしいと願っている。安倍晋三首相と民進党の蓮舫のバトル、小池百合子・東京都知事と石原慎太郎・元知事の対立などは、SNLなら格好の餌食にするだろう。
日本でも、思いっきりこうした権力者らをイジって笑い飛ばす空気があってもいいのではないだろうか。見る人が比較的少ない舞台などよりも、ぜひテレビに期待したいものだ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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