店舗はこのように変化する、かもしれない:看板から香りが……(2/3 ページ)
最新のデジタル技術を応用して、店舗のおもてなしを強化する提案が増えている。個別対応や感情に寄り添ったサービスにつながる技術とは……。
「香り」で集客力アップへ
店頭やイベント会場に設置するデジタルサイネージのコンテンツ配信サービスを手掛けるリコージャパン。美しい映像や多彩なグラフィックなどに強みがあるが、来店客を楽しませる新たな提案に乗り出した。
画像や映像に合わせて、香りを出す提案だ。カレー店やベーカリーから漂ってくる“いいにおい”をヒントにした。嗅覚を刺激することで、集客や販促、サービス向上につなげる。担当者は「質の高い映像を流すサイネージが増え、映像だけだとすぐに見慣れてしまう。香りを組み合わせれば、より足を止めてもらえるのでは」と話す。
サイネージの上部に香りを出す機器を設置。匂いを出すカートリッジを機器にセットし、内部で小型ファンを回すことで外に香りを広げる。香りの種類は規格品だけでも常時100種類前後。料理や菓子などの食品や、花、果物、飲料、植物、石けんなどを用意している。企業やサービスをイメージさせる香りを作ることもできるという。
展示会の会場では、クッキーの画像のサイネージから、甘い匂いが漂ってきた。クッキーが近くにあるように感じるほど。看板の近くにいると強く香りを感じるが、少し離れれば気にならない、さりげない香りだった。草木の柔らかな匂いを感じる「日本庭園」の香りなどもあり、クッキーの甘い香りとは全く異なる使い方ができそうだ。
嗅覚を使えば、リラックス効果のほか、食欲を高めたり、商品イメージをより鮮明にしたりする効果も期待できる。最新技術を使ったプロモーションだけが店や商品を印象付けるのではない。「ちょっとした工夫」を探す企業や店舗のニーズに合いそうな提案だ。
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