自販機がこれからも進化する理由:プレゼント機能も(1/2 ページ)
スマートフォンアプリで飲み物を買ったり、プレゼントしたりできる自販機が東京駅に設置された。飲料の売り場として、昔から変わらない役割を担い続ける自販機。なぜ変わろうとしているのか。
駅構内の自販機事業を手掛けるJR東日本ウォータービジネスが3月14日、スマートフォンアプリ連携機能を備えた「イノベーション自販機」の1号機を東京駅に設置した。自販機といえば、日本人にとってなじみ深い、昔からあるもの。その自販機の新しい使い方や体験を提案する新サービスは、自販機ビジネスの進化に向けた挑戦の一環だという。どういうことだろうか。
伸び悩む自販機市場
さまざまな味や機能を持った商品が投入され、清涼飲料の総市場は拡大傾向にある。コンビニやドラッグストアなど、飲み物を買える場所も増えた。小売店では値引き販売も珍しくなくなり、自販機は「ちょっと高い」というイメージが定着している。
日本自動販売機工業会によると、2015年末時点の飲料自販機の設置台数は、前年と比べて0.8%減の約255万台。自販機は微減傾向にある。
そんな中、飲料メーカーが連携して相互販売を実施するなど、自販機での購買意欲を高めるための取り組みも増えている。16年4月に相互販売を始めたキリンビバレッジとダイドードリンコは、3月中に対象商品を入れ替え、さらなるブラッシュアップを図る。
駅構内の自販機約1万台を展開するJR東日本ウォータービジネスは、06年の設立以来、売り上げを順調に伸ばしてきた。15年の自販機の売上高は282億円。設立当初の1.6倍に拡大した。しかし、売上高は13年をピークに、消費増税があった14年以降は伸び悩んでいる。次の段階の成長に向けて、施策を打ち出す必要性に迫られている。
「らしくない」売り方
これまで売り上げを伸ばしてきた原動力は、08年に立ち上げた「acure」ブランド。洗練されたイメージを打ち出すとともに、ブランド混合機の導入やタッチパネルディスプレイの採用、オリジナル商品の開発などを実施してきた。
「イノベーション自販機」は、その経験を踏まえて打ち出す「現時点における提案の集大成」(鈴木浩之社長)。スマホアプリを軸とした新しい機能を盛り込んだ「実験機」と位置付ける。首都圏の主要駅に約20台を設置し、約1年間のテストマーケティングを実施する。
大きな特徴は、同社が提供する無料アプリ「acure pass(アキュアパス)」で、事前に商品を購入できること。自販機でQRコードをかざすと、商品を受け取ることができる。クレジットカード決済に対応しており、後払いやまとめ買いも可能。従来と同様に交通系ICカードで即時購入することもできるが、現金払いには対応していない。
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