だから「クォーターパウンダー」は撤退に追い込まれた:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
4月4日にマクドナルドの「クォーターパウンダー」が終了する。「マックの顔」ともいうべきブランドなのに、なぜ同社は撤退の決断を下したのか。その背景には……。
立ちはだかる「500円の壁」
もちろん、マック側はそんな「説」など認めていない。J-CASTニュースが同社のPR部門に販売終了の理由を質問したところ、以下のような回答が返ってきたという。
「お客に魅力的な商品を提供するべく、ラインアップを見直すため」「売れていないから、というわけではない」(2017年3月24日 J-CASTニュース)
ご本人たちがおっしゃっているのだから、「そうなんだろう」と納得をする一方で、個人的にはもっと別の要因もあったのではないかしら、と思ってしまう。
例えば、「500円の壁」だ。
2008年に「通常の2.5倍の肉」をうたった「クォーターパウンダー」は先ほど紹介したように「マックらしさ」を訴求する目的で登場したわけだが、2013年6月になると日本マクドナルドの歴史に名を残す、以下のような「チャレンジ」をして注目を集める。
「マクドナルド、初の500円台バーガー 史上最高値」(日本経済新聞 2013年6月17日)
当時は「ダブルクォーターパウンダー・チーズ」も480〜490円(税込)くらいの中で、「クォーターパウンダー BLT」「クォーターパウンダー ハバネロトマト」という期間限定商品が520〜570円という驚きの高価格帯で発売されたのだ。さらに翌月には数量限定で1000円という「クォーターパウンダージュエリー」も発売され、「マックの高級バーガー」は大きな話題となった。つまり「クォーターパウンダー」は、これまでマックのハンバーガーが超えることができなかった「500円の壁」を超えたレジェンドともいうべきブランドなのだ。
ただ、今回の総選挙の結果を見ても分かるとおり、ニュースで話題になることと、ファンを獲得して定番商品になれるのかというのはまったく別の話である。
「クォーターパウンダー BLT」「クォーターパウンダー ハバネロトマト」が投入された当時、マックは2012年から13カ月連続で既存店売上高が前年割れするという“冬の時代”。これらの「500円超えバーガー」によって2013年5月、6月は客単価と売上高がプラスになったものの、「クォーターパウンダージュエリー」が投入された7月には再び売上高はマイナスに転じ、客数にいたっては9.5%減となってしまった。
これを境に「クォーターパウンダー」戦略は落ち着き、「高級路線」の勢いも収束していく。事実、2017年3月現在のマックのレギュラーメニューでも単価500円をかろうじて超えているのは、「ダブルクォーターパウンダー・チーズ」(520円)しかない。
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