だから「クォーターパウンダー」は撤退に追い込まれた:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
4月4日にマクドナルドの「クォーターパウンダー」が終了する。「マックの顔」ともいうべきブランドなのに、なぜ同社は撤退の決断を下したのか。その背景には……。
販売終了は、マックにとって「英断」
そう考えると「クォーターパウンダー」というのは、「マックにはやっぱり500円の壁を超えられない」という厳しい現実を突きつけた「戦犯」という見方もできるのだ。
なんてことを言うと、2016年6月に発売されて大ヒットしたビッグマックの1.3倍サイズの「グランド ビッグマック」(520円)や2.8倍の「ギガ ビッグマック」(740円)を引き合いに出して、「マックだって人気のある高級ハンバーガーがあるじゃないか」という人もいるが、これらは「クォーターパウンダー BLT」や「クォーターパウンダー ハバネロトマト」と同様で、「期間限定商品」ということを忘れてはいけない。
期間限定商品はメディアで取り上げられて話題になるのでドカンと売れる。「妖怪ウォッチ」やら「ポケモンGO」などのキャンペーンと同様に消費者を飽きさせないよう出し続ければ数字に結びつくし、客単価も上がっていく。が、言ってしまえば「飛び道具」に過ぎない。500円超えのレギュラーメニューが売れるという状況になってはじめて、「500円の壁を超えた」と言えるのではないのか。
エラそうなことを言うなと怒られそうだが事実、マックの幹部の方も『日経MJ』の取材に対して、「飛び道具」への依存から脱却することの必要性を説いている。
「定番商品はグローバルで原材料を調達できるので原価率が低い。この販売比率を引き上げられれば、経営の安定につながる」(2017年1月16日 日経MJ)
現在、マックのハンバーガーの定番比率は7割程度。それをもっと引き上げていこうという定番強化の布陣が進められている中で、「マックの顔」ともいうべき「クォーターパウンダー」が外されたことは、このブランドが進めてきた高価格帯路線そのものからの撤退、とみるべきではないのか。
そう聞くと、こいつはなにやらマックをdisっているように聞こえるかもしれないが、そんなことはまったくなく、むしろ個人的には今回の販売終了は、マックにとって大きなターニングポイントになる「英断」だと思っている。
マックの背中を追いかけるプレイヤーたちが、続々と「500円の壁」を軽々と超えるような高品質、高付加価値をうたったハンバーガーを投入しているからだ。
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