だから「クォーターパウンダー」は撤退に追い込まれた:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
4月4日にマクドナルドの「クォーターパウンダー」が終了する。「マックの顔」ともいうべきブランドなのに、なぜ同社は撤退の決断を下したのか。その背景には……。
「高級バーガー」がマックを苦しめている
例えば、2016年コロワイドが買収し、居酒屋チェーンなどでつちかったノウハウで出店攻勢をかけていくというフレッシュネスバーガーは、クラシックバーガーの500円(税別)が最も安く、クラシックベーコンエッグチーズバーガーは720円となっている。
2015年に上陸を果たして話題になったニューヨーク発の「シェイクシャック」は、健康的に飼育されたアンガスビーフを使用するなど、素材にこだわっているがゆえかなりの高価格帯で、「ハンバーガー」単品で580円(税込)、シャックバーガーなどは680〜980円と、「クォーターパウンダージュエリー」並の価格設定となっている(関連記事)。
もっと高いハンバーガーもできている。つい最近、東京・青山に初上陸を果たした「ウマミバーガー」などは1380円(税別)もするのだ。
そういう話をすると、必ずといっていいほど「そんな高い店はマックとはそもそもターゲットが違うからバッティングしない」とか言う人がいる。しかし、人間は1年365日を「価格」でガチッと縛られて生きているわけではない。近所にある、子どもを遊ばせられる、コーヒーが安いなどさまざまな理由でマックを利用しているだけに過ぎず、出先に「ロサンゼルスで話題のハンバーガーショップ」があれば、話のタネに行列に並ぶ。普段は100円マックの若者でも、デートの時にはショッピングモールの「クア・アイナ」に行くこともある。
そういう消費者の行動を考えると、ライバルたちの「高級バーガー」路線はじわじわとマックを苦しめるのは明らかだ。社会に「やっぱり素材にこだわったハンバーガーは高いけれどおいしいね」という認識が広まれば広まるほど、低価格ハンバーガーの「粗」が目立ってしまうからだ。
事実、米国では「シェイクシャック」や「ウマミバーガー」という高級路線のハンバーガーチェーンが台頭していく動きと反比例するように、マックの評価が落ちている。
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